4輪駆動

EXITの4輪駆動のレビュー・感想・評価

EXIT(2019年製作の映画)
4.7
「私には重いの」

カラオケ、チョーク、排気口、ダンベル、ドローン、花火、カタビラなど、すべての小道具演出が上手いしフレッシュだしで見事としか言いようがない。

都市部で有毒ガスが放出され、ガスに触れたらアウト(皮膚と呼吸器系が破壊され死に至る)という明確かつ、ありそうでなかったギミックがまた面白い。
ほっとけばガスはグングン上昇し、そこら辺のビルの屋上でも安心はできない。

ハリウッド映画ならゴリゴリの筋肉俳優が決死のジャンプを一発かまして終わりだが、本作はとにかく高いところへ逃げてなくてならない。ビルからビルへ時には飛び越え、時にはロープを使う。
主人公2人が元山岳部というポイントをフルに活かした上で、それでもビル間を飛ぶ恐怖感をしっかりと描写する。
蛇足だがヨンナムの姿勢の良い走り方はトム・クルーズリスペクトなのだろう。

この手の脱出アクションに付き物なクリシェは比較的抑えられ、新しい試みを多く感じる。
かと言って尖った演出が続く訳ではなく独特の間を持たせた笑いを織り交ぜ、ヘビーなドラマではなくしっかりエンターテインメントとして仕上がっている。

ヨンナムが求職中でも体を鍛え抜くのは「これすら失ったら俺は俺でなくなる」というそこにアイデンティティがあるからなのだろう。

いやはや脚本、監督のイ・サングン、今後も要注目。
4輪駆動

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