拘泥

心霊喫茶「エクストラ」の秘密-The Real Exorcist-の拘泥のレビュー・感想・評価

3.5
幸福の科学映画は初めてだったし、幸福の科学の教義も全然知らずなんとなーく仏教?ぐらいに思っていたので、何やら神も天使も悪魔も仏陀もごった返すハイパードグマの端くれに触れることができて楽しかった。悪魔の名前はメレフィスとか言ってメフィストっぽいが、信仰を放棄させようとする存在として現れるから、役割としてはむしろサタンなのである。調べるとメフィストとサタンの姪のアステリアを意識して合成したとかいう。合成ってお前。
いじめは神の視点からも悪いものだけど善悪を教える教育がなってねえっつって、酷かった。神悪いとか思ってんの!?それ教育のせいにするのはどういう了見だ!?
やっぱり現代宗教は現代の問題を場当たり的に対応させてブラッシュアップさせていくんだな〜
とりあえず俺が考えてきたこととドグマが全然相容れないので、入信はできないっぽいことが分かった。

隙あらば自著を見せドグマを千眼美子に喋らせ無双させるには飽き足らず、カメオで圧倒的に無駄なコーヒーの疑問を喋りまくるザマ、果てには締めの真のエクソシスト大川隆法ドーン!まで、大川隆法の自己顕示欲が強すぎるのが最高に面白い。
話としては完全な千眼美子ツエー&サイコーの無双系ドラマツルギーの妖怪ウォッチで、登場人物全員はその定義的な千眼美子の「善」に屈する。戦闘は仏陀の力を発現する千眼美子の封印術で繰り広げられるんだけど、「ツエー奴にはちゃんとツエー技を繰り出す」のがめちゃ面白い。後光はスーパーサイヤ人と同じだろう。
正義は勝つし全員が正義に洗脳されれば幸せ!!!!という、全員洗脳が世界平和の唯一の道なのではないかという真理は正直否定できないし、その全員洗脳世界を「ユートピア」と千眼美子がお祈りで形容していたのだけど、割とトマス・モアの提示した「ユートピア」を踏まえたような形式になっているのには素直に感心だ。ユートピアを単なる理想郷の言い換えとして使う輩が多いのでね。

撮影の芹澤明子さんは調べるとどうやら黒沢清と随分いい仕事をしてきている現役最強クラスの方らしい。実際これが流石というか、なかなか侮れなくて、その他予算などとの兼ね合いの結果出来上がったであろう画は絶妙な『学校の怪談』的邦画ホラーの画力を持っている。
またエクストラの由来は映画エクソシストだ、と劇中で明言されるのだが、しっかりエクソシストをオマージュするようなベッド上での格闘があって、それもだいぶウケた。
以上、なんだかんだで油断できない一作であった。
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