言いたいことは伝わる映画だと思うが、誰しもの心に響く映画ではないなという印象。
こうすべき、こうあるべきという、あるべき姿に囚われすぎない。
何かに秀でること、成功すること(自身の思い描く成功、もしくは他者が描く成功という偶像)が全てではないし、それだけが人生の幸福とは限らない。
大切なのは、遠くを見過ぎて小さな幸せを見落とさず、今、この瞬間を生き、身近にありふれた幸せを実感することである。
なるほど、それには非常に納得するし大賛成である。
しかしこの映画を見て、素直にその通りだ!という感動はできなかった。もちろん、その感動もあるが、そこに言いようのないモヤがかかったような気分だった。
私的な見解としては、今を生きる、今この瞬間の喜びを感じるには、ある種の余裕が必要なのではないかと思った。
モヤの正体、誰しもの心に響かないと思った根源はそこにあるんだろう。
ストレートに良い話、感動的で大切なことに気づかせてくれる映画という印象もある。
ただ、心の底から満足感を得られなかったのは、どこか説教じみた印象もあったから。
成功者のメソッドを聞き、確かに大切だがそれができたら苦労しないよね、という感覚に近いのかもしれない。
目先の小さな幸せは、誰しも気づいているだろうし、誰しもがそこに十分な満足感、幸せを感じることができれば、これほど幸福なことはないなと思う。
でもそれは根本的にはわかってる人が多いとも思うし、だからこそ、わかっていても難しいと感じることを改めて大切だと言われる感覚、つまりは説教くささを感じてしまうのかなぁ。
期待していただけに、満足感とモヤモヤが混ぜこぜになった、しっくりこない映画になってしまった。