すずり

ソウルフル・ワールドのすずりのレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
5.0
【受賞】
第93回アカデミー賞---作曲賞・長編アニメーション映画賞
その他

【あらすじ】
ニューヨークでジャズ・ミュージシャンを夢見る音楽教師ジョーは、夢が叶う直前にマンホールに落下してしまう…。
彼が迷い込んだのは、ソウル<魂>たちが地上に生まれる前に「どんな自分になるか」を決める世界だった!そこでジョーが出会ったのは、やりたいことを見つけられず、“人間に生まれたくない”と何百年もソウルの世界に留まっている“22番”と呼ばれるソウル。
夢のために地上での人生を取り戻したいジョーは22番に協力を求めるが…
奇跡の大冒険を繰り広げる二人が、最後に見つけた<人生のきらめき>とは…?
(disney公式サイトより引用)

・・・

【講評】
最近disney+に加入したため、以前より非常に気になっていた本作をようやく鑑賞しました。
本作は、きっと私の人生の中で決して忘れる事の出来ない大切な一作になる。そう感じさせてくれた世紀の大傑作でした。

本作が観客に向けて贈るメッセージ、『一瞬一瞬を大切に生きることの素晴らしさ』についてですが、私は大人になるにつれて日々の感動が刻一刻と薄れてしまっていたことをこの映画を通じて痛感させられました。

季節の移ろい、何気ない会話、様々な食事、映画、温度、音、風、匂い、、、
幼い日々の中では無数の輝きを放っていたはずの無数のものたちが、取るに足らない「生活の一部」として意識の片隅へと徐々に徐々に追いやられていきました。
そして、そんなことにも気付かないで、私たちは毎日を同じ足取りで歩き続けています。全てが失われていった果ての最後に残るのものは一体何なのでしょうか。

本作はそんな私たちが忘れ去り、捨てていったものたちの素晴らしさを、魅力溢れるアニメーションでまさしく"ソウルフル"に描き出した一作です。

人生を生きる意味や、人それぞれが持つ個性・役割などについても物語の序盤から言及がなされていますが、私はそれら自身も非常に素晴らしいものだと思います。
ですが、作中に登場する床屋のデズのように誰もが思い描いた理想の自身として生きていける訳ではないのが世の中です。
それでも、デズのように自分や周囲の人々や、きらめきに満ちた世界自体を愛することが出来る。
自分にとってのきらめきは自分が決めるものなんだと、本作は優しげなエールを音楽と共に私たちに向け奏でてくれています。



【総括】
ピクサーが贈る、生きることの意味や日々の中の素晴らしさを描いた感動的な一作。
超名作です。
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