ゴン吉

ソウルフル・ワールドのゴン吉のレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
4.2
魂(ソウル)があの世に向けて旅立った男をとおして生きることの素晴らしさを描いたファンタジーCGアニメーション作品。
ピクサー・アニメーション・スタジオの長編アニメ23作目。
監督はピクサー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーのピート・ドクター。  

ジョー・ガードナーは、ニューヨークでジャズミュージシャンになることを夢見ながら中学校で音楽バンドを指導していたが、音楽教師の正規採用の話が来る。その直後に友人の紹介で憧れのジャズミュージシャンのサックス奏者と協奏するチャンスを掴む。しかし、浮かれて街中を歩いているとマンホールの穴に落ちてしまう。ジョーの魂は体から抜け出してあの世に向かう階段に飛ばされてしまう。ジョーは慌てて階段を逆方向に駆け降りると、ソウルたちが人間として生まれる前に性格や興味を決める場所に辿り着く。そこでジョーは、生まれることを拒む22番と呼ばれるソウルと出会う。ジョーは22番のソウルの助けを借りて現実の世界に戻ろうとするが、ジョーの体には22番のソウルが入り込み、ジョーのソウルは猫の体に入ってしまう。ニューヨークの街を舞台に二人の奇妙な自分探しが始まる…… 

「モンスターズ・インク」「インサイド・ヘッド」「カールおじさんの空飛ぶ家」でも監督を務めたピート・ドクターによる長編アニメーション作品で、淡い色彩で優しい感じのソウルの世界が美しく描かれている。
夢にまでみた憧れのサックス奏者と協奏しても終わってみれば物足りない。ピザ、カエデの種、おしゃぶりキャンディ、ベーグルのかけら、糸巻などさりげない物でも改めて見ると素晴らしい。
夜空に輝く美しい星よりも足元の何気ない日常にこそ本当の輝きや幸せが沢山ある。
そろばん勘定で生きるのではなく、日常の一瞬一瞬を大切に味わいながら生きることの大切さが伝わってくる素敵な作品です。
上ばかり見ていると、いつかマンホールの穴に落ちてしまうかもしれませんね。
ピクサーらしい心が洗われる子供から大人まで楽しめる秀作です。  

2024.4 字幕で鑑賞  
第93回 アカデミー賞で作曲賞、長編アニメーション賞を受賞(2021年)  
第78回 ゴールデングローブ賞で最優秀作曲賞、最優秀長編アニメーション映画賞を受賞(2021年)
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