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ANIMAのakqnyのレビュー・感想・評価

ANIMA(2019年製作の映画)
4.3
女性の姿を追い求め、雑踏のなかを分け入って進んだ先には、また無数の同じ格好をした雑踏が大群のように押し寄せる。振り落とされそうになりながらもなんとか踏ん張るものの、たどり着いた女性は夢だった。

多様性やポリコレが広がり、より多くの個を認め尊重しようとする世の中に抗うように、匿名の箕は差別と分断を生んでいる現実。
トム・ヨークはANIMAの制作において、SNSの普及と、BREXITのようなポピュリズムが席巻する世界情勢を語っている。

アニマとはユングが提唱した男性から見た女性像なのだそう。トムは女性をそれぞれのイメージする理想、そしてそれを夢の中で追い求めるように描き、より個人主義が進む世の中の理想はそれぞれのイメージの中(SNSの中)でしか存在しないため、現実との乖離の増幅と、その危険性を示唆しているようにも感じた。

アルバムと事前のアニマ・テクノロジーズのプロモーション含め、トムはこの現実にとても冷静な怒りをもって向き合っていたようにも思える。

ああフジロック行きたかったなあ…。
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