荒野の狼

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェストの荒野の狼のレビュー・感想・評価

3.0
映画と言うよりも、今となっては日光江戸村と並んで知られた栃木ウエスタン村のショーを見ている気分にさせられる。しかも悠長なカットとスローテンポにイライラするばかり、頓珍漢なBGMも、うるさい。腰には拳銃を下げたコワモテどもがうろつくこんな場所で、どうやったら治安が守られているのか全く不明。そこに絶世の美女がいる意味がわからない。何が起きても結局すべては拳銃で方がつくではないか。銃では解決しない人間を映画が描くのは、まだ先のことで、すなわちお話は小1時間もあればすむような内容、骨子と中身はドサ回りの田舎芝居クラスと言っていい。
ところが、である。こんな子供向けの建て付けの映画でも、揺るぎない構図、的確なカメラワーク、そして何より俳優陣の顔と表情に有る存在感。俳優がちゃんと俳優していて、それをもって見せる、個々の堂々たる(まさに演技たる)演技があれば、これだけの重量感、手応えのある隙(すき)の無いないものが出来上がるのであった。「創る」のではなく、「作る」とはこういう事なんだなあ。そういう事なら、こっちもその気で、3時間超えに腰を据えて臨んでみようじゃないの、と改めて感じさせられた。ザ・ムービーであって、ザ・ビデオではない。
荒野の狼

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