まぬままおま

完璧な惑星のまぬままおまのレビュー・感想・評価

完璧な惑星(2019年製作の映画)
2.5
ブリリア短編。

「第1条 ロボットは人間に危害を及ぼしてはならない
第2条 前条に反しない限り人間に服従しなければならない
第3条 前条に反しない限り自己を守らなければならない」

アイザック・アシモフのロボット三原則をプロローグで語る本作。

ロボットは、人間が永遠に生きられる「完璧な惑星」を探索している。第1条に則り、ロボットは人間の生命維持を目的として、危害を及ぼしてはいない。そして第2条に則って、人間の惑星探索の命令に服従している。しかしロボットが原則に則って遂行する命令は、人間を他者が存在せず、死によって自らを終わらせることができない生き地獄に閉じ込める。死は、人間が最も避けたい危害ではあるが、それを回避する命令遂行もまた危害になってしまうのである。危害なき危害。この不可解なトートロジーが人間を苦しめ、荒廃した地球への逃亡を自らに許してしまうのである。

それを純粋に遂行してしまうロボット。第3条に則って、ロボットは自己を守るために、人間は代替交換されてしまう。人間には逃亡も死も許されない。そして人間がロボットを支配するための原則は、いつの間にかロボットが人間を支配することになってしまうのである。この不条理さから人間は永遠に逃れられない。