アキラナウェイ

死刑台のエレベーターのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)
3.5
こういう邦題のセンスは好き。
1958年公開のフランス映画。

Je t'aime(ジュ・テーム)…
  Je t'aime(ジュ・テーム)…

電話で愛を語り合う男女。ジュリアンとフロランスは不倫関係。自らが勤める会社の社長であるフロランスの夫を自殺に見せかけて殺害したジュリアン。

2人の計画は完璧な筈だった—— 。

もう!
ドジ!
おたんこなす!

ジュリアンよ。社長の部屋まで窓越しに登って行ったはいいが、証拠になり得る物をうっかり忘れて来てしまう。急いでエレベーターに乗って現場へGO!!

はい、ここで閉店ガラガラ。
守衛さんも帰るから電源OFF。

エレベーター内に閉じ込められてしまったジュリアン。

メイのバカ!!
もう知らない!!
(from「となりのトトロ」)

戻らぬ不倫相手を待ち惚けのフロランス。

この間抜けな2人の物語だけなら、ただ退屈なだけだが、もう1組の若者カップルが全てを狂わせていく。

ジュリアンの車を盗み、彼の拳銃で殺人を犯すチンピラのルイ。ジュリアンの名を騙った事で、エレベーター内で一晩を過ごしたジュリアンは殺人犯に仕立てられてしまう。

ただ刹那に快楽を求めるだけの
浅はかな若者達があまりに腹立たしい。

取り調べのシーンの光と影が印象的。

破綻した完全犯罪。

ジュリアンを探し求め、夜の街を彷徨うフロランスの姿が切ない。2人の愛の思い出を写真が物語り、それが動かぬ証拠となってしまう。

色々とツッコミ所はあるものの、モノクロの映像美と全編で流れるジャズ音楽にしっかり魅せられる。この小洒落た感じはそうかこれがヌーヴェル・バーグなのか。