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死刑台のエレベーターのmaiのレビュー・感想・評価

死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)
4.4
オシャレだしすれ違いの結末がお見事すぎて…すごく好きな映画の1つです。

人妻との不倫の末、旦那を殺す…までは良かったのに、焦って証拠のロープをそのままにしてしまい会社に戻ったところ、エレベーターに閉じ込められる不運なダベルニエ(名前が難しい)。それを待つフロランス。そして、そのすれ違いに新たな殺人を舞い込ませる若者カップル。
たったひとつのミスで全てが水の泡となり、事態は予期しない方向へと進んでしまう感じで、後から伏線が回収されていく様が鮮やかでした。
題名「死刑台のエレベーター」が若干のネタバレなのですが、そのタイトルも最後まで見終わると秀逸だなと思います。
結局どちらのカップルも捕まってしまうんだろうなぁと思いつつも、最後の最後までどう捕まるのか予想できなくて、写真見せられてゾワゾワ〜としました。「写真はまずい」

ストーリーも好きなのですが(たったひとつのミスで全てが狂う…というのが好きです)、演出も音楽も素晴らしいんです。
まずフロランスがパリの街を呆然と歩く姿のなんと美しいこと…モノクロ映画だってことが尚更その美しさに拍車をかけさせてます。加えて、エレベーターから火を落とすシーンの幻想的なこと…若者カップルを始め、登場人物たちの行動の理由がいまいち理解できないシーンもあるのですが、そういうのもスルーできるくらい綺麗な演出でした。ただ本当に若者カップルは何を考えてるのか(もしくは、何も考えてないからよく分からない行動に出るのか)…引っ掻き回す役としては申し分ないのですが、無鉄砲なのか慎重なのか。笑
そして何と言っても音楽!
父がマイルスデイビス好きなので、この映画のアルバムもよく聴いていて、そこきっかけで「死刑台のエレベーター」を観ようと思いました。もちろん曲は知ってたのですが、ここ!めっちゃ雰囲気あるシーン!というところで超カッコいいトランペットが響きます…映画にジャズという選択肢もさることながら、そこにマイルスを選ぶというのも脱帽です(すごい上から目線になってしまった)。

総じてストーリーも演出もキャスティングもすごく好きな映画でした!
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