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アルプススタンドのはしの方のtouchのレビュー・感想・評価

4.0
"真ん中は真ん中でしんどいんだよ"
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逆転サヨナラホームラン級、期待以上の快作!
甲子園の応援に駆り出された生徒たちの青春群像劇。
努力は報われるとは限らない、そんな冷めたペシミズムから揺り起され、最後まで全力投球することの醍醐味を噛み締める。敗北とは"しょうがない"と諦めた者に訪れるものだ。
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カメラには全く映らない選手たち、園田&矢野が起点となって、観客席の生徒たちの思惑や感情が動き出す。
そして冴えない4人とは一見別世界の人物、吹奏楽部の部長:久住が抱える"トップランナー特有の苦悩"を掘り下げることで、より多層的なドラマに。
「桐島、部活やめるってよ」を想起させる構図だ。
見つめる・応援するという行為にフォーカスする視点は、直近の青春映画「のぼる小寺さん」とも響き合う。
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コロナ禍によって、高校野球はもとよりほとんどの部活動が自粛となってしまったことで、本作は奇しくも特別な意味合いをもつことに。
様々なことを「しょうがない」と受け入れざるを得ないこの状況下、挫けてはいけないと全ての人を励ましてくれる作品だと思います。
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