ZIMA

アルプススタンドのはしの方のZIMAのレビュー・感想・評価

5.0
アルプススタンドのはじの方にいる人たち側からのお話。とても見やすい上映時間とコミカルなお話(好き嫌いがあるかも)でした。今現在の若者たちをとても良く表現されているように思います(高校演劇での演目が原作だからかな)。若者たちは全員見るべきだし、私たちおじさんもおばさんも見るべし。

高校時代の私は、「アルプススタンド側」ではなくて「応援されていた側」にいました。全校応援をしてもらったことのコトを思い出しました。試合の後に一緒に泣いていてくれる人が大勢いていて、誰かの心を動かすことができたんだなぁってその時思いましてね。同時に、誰かの心を動かすことができるんだなぁってのも思いましてね。今回のお話のように、誰かの心の中であり続けてほしいなぁてのも今日思いましてね。

そしてこの作品の好きなところは、応援された側だけではなくて、登場人物それぞれの気持ちがとてもよく分かること(メインの4人以外も)。だからこそ見た後は、とても複雑なでも爽快な気持ちになりました。

「霧島部活やめるってよ」の野球部の先輩のお話でも。ある一つの答えが出ていてとても救われる。努力すれば必ず報われるわけではないが、成功したものは必ず努力しているって言う、鴨川会長の言葉がとても染みる作品でした。

可能性が無限にある若者たちが、社会のせいにしたり、親のせいにしたり、環境のせいにしたり、そして自分に失望したりして、何かを諦めちゃっている姿を見るのが嫌いです。というよりも嫌いだなってことがこの映画を見て分かりました。まだ「何者」にもなっていない彼らが勝手に自分で答えを出しているのが悲しくて、勿体無いなって。でも諦める気持ちも凄くわかる。特に今年のような時は「しょうがない」で自分たちを納得させるしかないのではないでしょうか。親や教師はこのような状況でどう子供たちに納得させるのか。子供たちはどう割り切るのか。「しょうがない」「仕方ない」で片付けるのではなくて、納得いく理屈で子供たちを、そして自分に決着つけてほしいなって(私はずっと考えてますがなかなか辿り着けず…)。

日本は野球を題材にした作品が本当に多いように思います。それだけ文化として定着しているのがスゴイと改めて思いましてね(歓声だけで今ピンチなのかチャンスなのか分かってしまうところなんかは特に)。だからこそ分からない子たちの視点や感情が面白い!そんなお話でも。タッチアップというルールが知らない人は、調べてから行くのがオススメです。


毎年テレビでやれば良いと思うよ。
ZIMA

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