コマミー

アルプススタンドのはしの方のコマミーのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

【人生のはしの方】

※まず、地元なので一つ言わせてください。花咲徳栄高の皆さん、勝利誠におめでとうございます❗一回戦のみではありますが、皆さん特別な思いで挑まれたことでありましょう。他校の皆さん含めて、皆さんの思いとても伝わった試合でした。



今年も特別な夏"がやってきた。
灼熱の中、球、バット、グローブなどに思いを込め、甲子園の土に立つ。
その前哨戦も、甲子園という舞台への切符を手にするため、熱き"若者たちの闘い"が繰り広げられる。

だがそれは"選手だけの話"だろうか?

観客席にいる、生徒たちや教師たち、選手の家族たちにだって、"負けられない白熱の闘い"が繰り広げられると思うのだ。
その武器は、声や音楽、そして選手と同様、思いを手にして闘う。だが、ごく稀に、端の方に独り寂しく座る人や、進路なんかでそれどころではない人や、その"輪に入れない人"もいる。

この作品は、その人たちに着目した作品だ。

まず、この作品には一切、選手たちの"試合シーンが出てこない"。観客席の映像のみが流れる。そして、メインとなるのは、比較的地味に見つめる四人。
演劇部の部員で野球のルールについての知識は皆無だが、何となく見つめる二人や、やけに野球のルールに詳しい、見た目は文化系の男子、そして学年上位だった女子。
この作品は、その何となく集まった四人組に着目される。

最初は、少し"ネガティブな会話"が目立ち、熱血系の教師に注意される始末。そう、この四人組は、心の奥底に"深い溝"を抱えている。何かに"諦めた人"や、同じ人に"恋を抱いてる人"がいて、四人は知らぬまに、"目的"があってきていた。

実は、この発見が、物語の分岐点となる。

四人の内の一人は、最初は"他人同士の雰囲気"で、最初は"来ている意味"も見出だせなかったが、"ある出来事"がきっかけで、その意味を見出だす事になるのだ。

人の「団結」というものの可能性を知ることが出来た作品だった。
人の団結力は、何かに"挫折した時"にこそ発揮され、共通した人が出会うと、よりその力は"強大"になる。そしてそこで出会った人は"友"になれる。

観客席の端の方で、大きく繰り広げられた"青春"が、そこにはありました。



この経験が、早くまた学生たちに訪れるように願いたいものです。
コマミー

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