TaiRa

I Am Easy To Find(原題)のTaiRaのレビュー・感想・評価

I Am Easy To Find(原題)(2019年製作の映画)
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The Nationalの新作に併せて作られたショートフィルム。

ひとりの女性の生まれてから死んでいくまでをアリシア・ヴィキャンデルが全て演じる。25分で描かれる一生。世界を認知して行く過程と変遷。アリシアの身体表現に説得力があるから奇抜な作りにも不思議と違和感を覚えない。アリシアが赤ん坊にも中年女性にも老婆にも見える。The Nationalの楽曲が流れ続ける音楽フィルムであり、台詞は基本的に背景化させ字幕で物語が語られる。マイク・ミルズはテキストのデザインや入れ方が良い。あの素っ気なさ。文字だけで語られる人生の省略された瞬間たちが生々しい。どんな瞬間であろうとドラマチックにしない。25分に凝縮されているから、というのもあるが最初から全てを等価に扱う。人生の全てに意味があるとも、全てに意味がないとも、どちらとも言わない。彼女の人生、選択を一切ジャッジしない。ただそこに人の人生があるという視点。生活の営みが自然に伴うリズム感、反復性が心地良くもあり、生きる事の単純さを感じさせる。親から生まれ、子を生み、死んでいくだけの生き物であることの、ある種の美しさが映っている。
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