・ジャンル
サスペンス/リベンジ/バイオレンス/スラッシャー/コメディ
・あらすじ
40年前、田舎町で4人がかりのレイプ被害を受け報復を遂げた作家のジェニファーは体験を本に書き著名な人物となっていた
娘のクリスティーナも幼少期からモデルとして活動し、世界的な有名人
親子2人はセレブとして華やかな日々を過ごしてきた
しかしある日、事件は起こる
ファンを名乗る男達に2人は突如襲われ拉致、辿り着いたのはかつての因縁が残る町
男達はジェニファーが殺めた加害者達の遺族だったのだ
彼らを主導する当時の主犯ジョニーの妻、ベッキーは夫のレイプをジェニファーに責任転嫁
一行の狙いはジェニファーへの報復だった
離れ離れにされた娘を取り返すべく彼女は抵抗し逃げるも間も無くベッキーの手で殺害され独り残されるクリスティーナ
その上、彼女もかつて母がされた様に犯されてしまう
そうしてジェニファーの復讐を決意し…
・感想
‘77年に実際に起きた事件をモデルに製作された名作リベンジホラー「発情アニマル(原題: I Spit on Your Grave」)
今作はそのリメイク版シリーズ完結の後に満を辞して公開されたオリジナルの後日談を描いた続編となっている
原作、リメイク版1作目と3作目はどれもそれぞれに良さがあって内容にも意義があった
そして今作では監督/脚本をオリジナルと同じくメイル・ザルチが担当し当時の主人公ジェニファーもカミール・キートンが続投
描かれるのはかつて殺めた加害者達の遺族で約2時間半という長尺
更に40年余りの時を経ての続編
となれば「ハロウィン」シリーズの様な素晴らしい大作である事を期待してしまうのは当然
ところが実際ははっきり言って褒められる部分がまるで見当たらない駄作だった…
まず今作はリメイク版シリーズと内容が繋がっていない
その時点でリメイク版に不満があって監督が新たに続編を撮ろうと思ったのか?
と思わされたけどリメイク版へのオマージュと思しき殺害描写もあるのでどうやらそれも違うっぽい
全編通してオリジナルである前作の寒かったコミカルな部分がこれでもかと強化されていながらコメディとしても笑えない
コメディに振り切っているか?と言うとそれも違って中途半端にシリアスな場面に移ったり…
テンポはずっと悪いし展開も遅いし尺は長過ぎだしで鑑賞が苦行でしかなかった
またヒルズ親子に逆恨みの復讐を仕掛ける遺族達の描かれ方も鼻についた
いわゆるヒルビリー、レッドネックと呼ばれる田舎の白人労働者達のステレオタイプを過剰に誇張
マシューの父、ハーマンも息子同様に知的障害者で明らかにそれが笑い物にされ続けている
誰がどう見ても差別的なこれらの描写は笑えないだけでなく普通に不快だった
またジェニファーも前作の様な清廉潔白な普通の女性から高慢でやや老害的な一面を覗かせる形に老いている
そんな母を殺されての復讐なもんだから感情移入もろくに出来ない…
オチだけやたらシリアスなのも社会の無情さを示したかったのかもしれないけどそれに至るまでが酷いから響かないんだよな…
何かと絡んで来るキリスト教要素もほぼ何の効果も成せてないし…
映画としてここまでつまらないのならせめてゴア描写だけは頑張ってくれるのか?という一抹の期待も裏切られた
グロいと言えばグロいけど前作やリメイク版シリーズには遠く及ばず肝心な部分がまともに映されない事も多い
最後までずっと「何を見せられてるんだ…?」以外の感想が持てなかった
実話をモデルにした作品の続編でこんな内容をやるのもどうかと思うし40年も経ってわざわざ作った意図がマジで分からなかった…
ジェニファー役のカミール・キートンも早々に死ぬ役回りとはいえ良く引き受けてくれたなぁ…
はっきり言って時間の無駄にしかならないのでオリジナル及びリメイク版シリーズが好きな人ほど観ない方が良いと思う…