大一

映画ドラえもん のび太の新恐竜の大一のレビュー・感想・評価

3.8
「鉄棒なんてできなくても別にいいや」
他にもテストや徒競走、何をやっても上手くいかないのび太。そんな中、彼は寄り添う心の力で誰も見向きもしなかった石の塊を恐竜の卵だと直感し、ドラえもんの力を借りて本当に恐竜を孵してしまう。
生まれたのは腕に小さな翼を持つ双子の恐竜。しかし片方のキューと名付けた恐竜は体も小さく飛ぶこともできなかった。
卵から孵した恐竜を元の時代に返すという点では「のび太の恐竜」の流れと同じではあるが、「飛ぶ」ということをメタファーにのび太とキューの成長や生物の進化の重要性を描いた作品であった。
飛べないキューに対しのび太は一貫して、「なんで飛べない、飛ぶんだ!」と自分が言われてきたように教えるのび太だが、そう言われるだけではキューは飛ぼうともしない。「みんなできてるのに、ひとりだけできない」そんな気持ちを唯一共有できるのび太は自分に言い聞かせるように「大丈夫、きっと飛べる」と寄り添う姿勢を見せ、自分もできない逆上がりを練習し始める。
子どもにとって、どんな声かけや親の姿が子どもを変えるのか、飛べるようにさせるのかそんな一つの解答が示されているような気がした。
Mr.Childrenの曲が優しく、強くのび太たちを後押しし、恐竜時代から生命への進化の可能性を子どもから大人まで幅広い世代に提示する。そんな映画だった。
大一

大一