ほのか

少年の君のほのかのレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
4.2
「夜明けは目の前よ」








蹴落とされた先のどん底で出会ってしまった2人。
場所は違うけど狭いコミュニティで揉まれ締め付けられしがみつきながら生きる人と人が、お互いの心に触れる。いじめと受験と恋の狭間で揺れながらも、抑圧された世界でまだ見えないけどこの先にあるはずの光だけを信じて、心身をやつしながら大切なものを削り出していく姿にただただ涙するだけだった。







⚠️ネタバレか微妙なライン


予告みて、なるほどホットロードか!って思ったんやけど、(かすってるところもなきにしもあらずやけど)(いうほどホットロードも覚えてない…)それ以上にがっつりいじめのお話。

これもこれで根本的解決にはなってないんよなあ。「いじめ問題解決の一助になれば」ってメッセージからはじまるんやけど、いじめられてるひと、ああ自分にはシャオベイがいない…って絶望しない?大丈夫か?ってちょっとだけ思っちゃった…。(映画自体はすごくすき!でもいじめの一例を挙げる作品ではあるけど助けになるかは私にはわからん、という話。)心の中にシャオベイ創って飼おうネ…、その前に虐げられてる子は救いあげなきゃならんのだけれども。
チェンニェンはシャオベイと出会って、逃げ場所を得られたから助かったけど、そうじゃなかったら、頼みの綱の逃げ場所がどんどん切られていったら、フーの決断をなぞったかもしれない。誰が悪いっていったらそりゃもういじめた側でしかないんやけど、それだけで済まないからいじめ問題はなくならない。無くそうと"思えば"なくせるはずなのに、答えだけはあまりにも明確なのに、道のりがあまりに複雑で、手を伸ばせば伸ばすほど苦しくてもどかしくてやりきれなくて、もうどうにもできないと諦めてしまいたくなる自分に嫌気がさして、どうにもしてやれない環境から目を逸らしてしまってさらに自己嫌悪。
ほんまにいいことなんかひとつもない。だから、この映画のどの場面も美しいな、とかいいお話だなとは思いたくなかったなぁ。このふたりの出会いや気持ちが繋がっていく様子は、物語好きの人間の心にとても響くものではあったけど、それをよかったねぇ〜!って手放しで喜べるかといえばそうではなく……。二人の関係は安定とは程遠くて、不安定な細い線の上を二人で渡ってるようで、だから高まるものだったのかも。ぬるい環境で築かれるものじゃなくて、追い詰められて決断せざるを得ない場面をふたりで多く迎えすぎたね。

自己犠牲は美徳じゃないけど、ふたりの演技が頭が沸騰しそうになる程よくてぼろぼろ泣いた…。「見捨てない」で、この映画ここまで紡いできていちばんやわらかい顔をするのすごい、ずるい。

すごい、すごい、ここでこんな台詞放り込んでくるんだ!?まじか!?ってなる台詞のオンパレードで観ながら化粧しようと思ってた観る前の私に忠告したい、泣きすぎるから絶対無理です。



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filmarks様オンライン試写会にて。
映画館で予告みて、ぜっっったい観たい…と思って応募したら当たったの、ほんまにうれしい。わたしにとってとても大切な映画になりました。
ありがとうございました!