りめんばーみー

少年の君のりめんばーみーのレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
4.5
今年、一番涙した作品。超良い。

【予告編を観て迷ってる人は観るべし】
本作は不良と純粋少女のボーイミーツガールではないです。全く違います。前情報はこれだけで観るのが一番いいと思う。
そのため、まだ未見の人は下記を読む必要はありません。


【これを名演と言わず、何を名演と言うのか】
主人公の二人、チョウ・ドンユイ(周冬雨)とイー・ヤンチェンシー(易烊千璽)の演技。
表面は静かな演技、でも内なる炎や涙を感じさせる名演で、人ってこういう状況に置かれたら、ぎゃーぎゃー騒げる人はほとんどなく、こういう風に静かに涙するのだろう。
その静かな涙に号泣。最後は涙腺決壊。


【演出が素晴らしい】
演技もですが、それ以上に演出が素晴らしい。
特徴的なのは顔のアップ、真正面から対象者だけが映されるシーンが多用される。
これらシーンにより、流れる涙の意味がとてもクローズアップされ、あれを観てグッと来ない人はいないだろう。
中でも二人が重なる坊主頭の二人の写真のシーンは、その前後の事件への覚悟や愛情が重なっていて、本当に名シーンだと思う。
それを削除する時の表情など、こう言った演出も素晴らしい。
ラスト付近の解答用紙のシーンとか、二人の乗った車が別の道へと進むシーンなど、映画としてとても良い。
また、刑事役のファング・イン(尹昉)の助けたいのに助けられない立場であり、事件を追わなくてはいけない二人の敵にもなりうる微妙な立ち位置の設定も素晴らしいと思う。

この監督は知りませんでしたが、今後も良作を作り出していくでしょう。


【アニメ『竜とそばかす姫』と『少年の君』】
ネタバレしますので、知りたくない人はスキップしてください。また映画作品とはあんまり関係ありません。
竜のセリフ「助ける助ける助ける」に代表される間接的な援助は、子供や若い世代の弱者にとっては何の助けにもならないんと感じた次第。
『竜とそばかす姫』は主人公のすずだけが、あの兄弟を助け出すことができた。本作のチェンニェンだって、唯一手を差し伸べてくれたのはシャオペイだけだったわけです。
小さな子供、若い世代は声をあげられないわけで、大人が手を直接的に差し伸ばさなければ意味がないのです。「これは映画の中だから」とか、そういう誤魔化しはいらないのです(自戒)。
仕事柄もあり、この二作を見て深くそう思いました。

またラストに納得していない訳ではありませんが、二人の幸せを本気で祈ってしまうからこそ、最後は作戦通りに行ったラストでも良かったかなと頭の片隅に思います。

たぶん、この作品はBlu-rayなどになったら購入すると思います。
りめんばーみー

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