このレビューはネタバレを含みます
最後まで誠実な映画だった。
いじめる側への同情の余地が排除されていることに最初は引っ掛かっていたけど、それはチェン・ニェンが彼女の死を招いてしまったことや、最初のいじめを黙殺してしまったことなどで補完されている。徹底してチェン・ニェンの物語にすることで、あらゆる立場における当事者性を突きつける。
彼女は弱かったから死んだ、に対する、私たちも弱い、という反論。チェン・ニェンとシャオベイの間に芽生えた愛は互いの痛みを推し量ることで生まれ、それは恋愛という枠を超えて、人と接することの本質として提起される。
登場人物に対して観る側が抱く単純な感想をことごとく裏切っていく構成は見事。いじめや、いじめの周辺で巻き起こることがそれだけ複雑なものであり、複雑なものを複雑なまま理解する大切さを訴えているように感じた。