穂苅太郎

少年の君の穂苅太郎のレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
4.2
タイトルや中国映画ということで舐めてはいけない。これは紛れもなく大傑作。事件はとんでもなく重いので、かなり気合いを入れないと見る方がしんどくなってきてしまう映画ではあるが。

セリフでの説明はほとんどなく、表情と映像的演出だけでストーリーを続けていくのだが、これがとてもロジカルでわかりやすい。
香港映画や中国映画は途中で省略などをせず、とにかく説明説明で紡いでいくものと舐めていた。そんなのはジャッキーチェンの時代だわな。
ここまで周到に、素晴らしい映像表現になるとは。

ミステリーとしても超一流なのだが、何より主人公二人の心のつなぎ合いの表現がそこここに散りばめられている。それは言葉以上に饒舌なのだ。ラストに近い、バスでの以心伝心の表現は震えるほどすばらしかった。

インドはもちろん、中国だってタイだってほかの国だってなかなかすごい。アジアの中でますます文化的に日本だけが取り残されていく。
穂苅太郎

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