Junichi

スーパー30 アーナンド先生の教室のJunichiのレビュー・感想・評価

4.0
「人間は一生、学び続けるべきです。人間には好奇心…知る喜びがある。肩書や、出世して大臣になるために、学ぶのではないのです。では、なぜ学び続けるのでしょう?…それが人間の使命だからです。」
『MASTER KEATON』第2巻より

【撮影】7
【演出】7
【脚本】7
【音楽】9
【思想】10

インド映画のプロモータの方にお勧めされて

あらためて考えてみると
大学に入学する人々には様々な背景があります
家族の経済的な支援を受けて入学する人もいれば
貧しい環境で奨学金でやりくりしながら入学する人もいます
どちらも努力をしています
インドだけの話ではありません

問題は入学後の大学のはなし
そのような学生に対して
大学の教員や職員はきちんと応対できているのでしょうか?
できていないと思います

大学教員のほとんどは研究者です
公的資金獲得のために競争し
他の研究者の研究を蔑み
あまつさえ人格攻撃したりします
仲間を増やすことに奔走し
競争のために研究業績を大げさに自己アピールします

これでは競争ではなく狂騒です

自分の研究業績を上げることしか興味のない大学教員
意外と多いものです
そうした人は授業もいいかげんです
そのような授業を
本作品のような学生たちが受けていくとしたら
学問することに絶望を与えかねません

国家の未来
人類の未来を棄損する行為でしょう

本作品でアーナンド先生は
貧しい境遇の才能のある若者をインド工科大学に入学させるため
私財をなげうって塾を開きます

ここにはアーナンド先生の
紆余曲折した人生が関係しています
また
家族(父、母、弟)の理解も大きいでしょう

もちろん本作品には
物語上の創作もあります(映画冒頭で注意書きされます)
アーナンド先生の良い部分しか描かれていないようにも思えます

しかしながら
義務や使命感で突っ走る人間の姿を
大音量と大画面で観る経験
それは得難いものです

インド映画のエンタメを体験したいすべての方に
本作品をおすすめします!
Junichi

Junichi