三四郎

女たちの庭の三四郎のレビュー・感想・評価

女たちの庭(1967年製作の映画)
4.5
色香あり過去に何かしらある妖艶な奥様を演じている高峰三枝子。
「人の生きて行くうちには自分ではどうにもならんことがあるんです。心の綺麗な人ほどどうにもならんのです。それは責められんとよ、責めちゃいかんとよ、許してあげないかんとよ」岡田茉莉子のこの科白がなかなか良い。彼女は童顔二重で小悪魔的で色っぽすぎて…こういう理解のある人=もうけ役はなかなかこなかっただろうな。

野村芳太郎監督は緑好きか?と思うほど、この映画の基調の色は緑だ。
真山との子である三女をお腹に宿してた昔のことを言い「あなたが四里の道を歩いて帰って来たときがありましたね…嬉しかった、申し訳なかった」とさめざめと泣く三枝子。
「その雪の夜、真山さんと別れる決心をしたのねきっと」と言う次女と三女。三枝子の刺繍の壁掛けが真山の家に飾られ、真山から貰った帯留めを三枝子は大事にしまっている。「二人は強烈だったのね」と理解しあう娘たち。
「お父さんに申し訳なくて泣いたのかしら?真山さんを思い出して泣いたのかしら?」たしかに大いなる謎だが、この娘たちの問いこそが映画に深みを与え余韻を残している。
どちらの気持ちもあったのだろう。

三女は非常に現代っ子で、明るく我が道をゆくタイプだが、それは若い頃の情熱家だった真山の遺伝ということかな。三女だけ真山に会ったことがない、真山は20年前突然九州に引っ込んでしまった。こういう父親と父の親友の会話が伏線になっていたんだなぁ。

真山の娘と三女の髪型を同じにして暗示するのは良い。ただ真山の娘が三女に父の形見を送る出来事は…なくてもよかった。真山が死んだことによる母の動揺だけで何かしら読み取り行動する三女で説明がつく。父親が事情を昔から知っていたのなら余計深い家族愛物語になるのではないかしら。

最後は「君こそわが命」笑
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