向上心

劇場の向上心のレビュー・感想・評価

劇場(2020年製作の映画)
3.8
中盤さきちゃんに感情移入しまくりで観るのしんどかった、しかし終わり方がすごく綺麗で観てよかったと思えた作品。


「さきが僕を気遣って話すのを辞めた時、その静けさはとても大きな音として僕の神経を逆撫でするようになった。」このナレーション1番ぐっときた!!! すばらしすぎる言葉選び。興奮。


初めに「お酒のボトルが殺し屋だとしたら誰が1番強そうに見える?」
と独特なもしも話をふっかけてきた永田。ちょっと変でおもしろい男が好きなわたしにはどストライクすぎる初っ端だった。


お酒で言えば、永田はなにかから逃げるために安い居酒屋で酒を飲み、さきちゃんは東京(永田?)から逃げるため家で酒を飲み、青山は仕事に繋げるために色んな場に出向いて酒を飲み。
みんなお酒との付き合い方がばらばらでおもしろい設定?だなーとおもった。


さきちゃんと永田は恋愛観がかなり違う。
さきちゃんは、好きな人だからこそ気を遣いたいと思うタイプだが、永田は好きな人だからこそ気を遣わず接したいと思うタイプっぽい。ここの違いがあるとなかなか上手くいかない。



「おれさきちゃんのお母さん嫌いだわー」
って永田が言った場面、重苦しい空気が画面越しにも伝わってきた。さきちゃんの一つ一つの言葉からもいい子なのが伝わる。対して永田のずかずか申し訳ない気持ち1つなくさきちゃんのお母さんを傷付けていく言葉。ここみててしんどかったな



永田はお金ないくせによさげなカレー食べに行ったり飲みいったり同じ小説買ってきたらもったいないでしょと怒ったり。なんにもしていないくせに、さきちゃんより優位にたっているとずっと勘違いしていてむかついたが、自分がさきちゃんに依存してたんだと気付けたのはえらい。



永田の魅力はどこにあるのだろうかと思ったが、
「他人から見れば馬鹿同士が戯れている光景にしか見えないだろう、でも僕はさきが笑っているこの時間が永遠に続いて欲しいと願った。さきが笑っている時間だけが永遠に繰り返されればいいと思った。」
ここのナレーションでわたしは永田への好感度があがった、さきちゃんを愛しているんだとちゃんと感じれた。ただ、さきちゃんのこういうとこが好きだとナレーションでは言っているけれど、本人に一切伝えてなかったとこが本当に不器用な人間なんだなと、、、。




さきちゃんの家の場面から演劇に繋がったシーンすごく涙が出た。いい演出だ。
向上心

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