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劇場のcomのネタバレレビュー・内容・結末

劇場(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

いや〜久々に人間味を感じる作品を観たと感じた。
ジャンルがラブロマンスだと思われるが個人的にはヒューマンドラマ強めに思えた。
これは観るべき。すごくいい。
観賞後、切なさと同時に胸にグッとくるものがある。

映画始め、出会いの場面からスタートするが同じ画廊に惹かれ、同じ靴を履く沙希にきっと運命のような何かを感じたのではないかと見て取れる。

知れば知るほど心が寛大で素直で優しくて、感情豊かな沙希と、誰かに否定されるのが怖く自分の真の部分を暴かれたくない永田。
きっと永田は自分とは正反対の沙希といることによって、自分が惨めで愚かだと常に感じていたのだと思う。

「いつまでもつだろうか」はいろんな場面で当てはまるのではないかな。
沙希がいつかこんな自分を嫌いになってしまうのではないか、
愛想つかれてしまうのではないか、
沙希の自分が好きな気持ちは「いつまでもつだろうか」。
認められないことを恐れず演劇の夢を諦めない、自分はまだやれるというこの気持ちは「いつまでもつだろうか」。
この2通りどちらも当てはまると感じた。

「部屋が1番安全な場所」というのはきっと2人だけの世界だから。誰にも邪魔されなければ、誰にも影響されない。
誰にも影響されなければ、お互い変わることはないからね。
これからも変わらず、このままでいたい気持ちがそこにはあったんだと思う。
でもきっと2人も心のどこかでは、このままではいられないことをわかっていたのではないかなあ。

ラスト30分くらいの自転車を二人乗りするシーンはなぜかすごく泣けた。
他愛のない思い出話の中に紛れ込む「みんな幸せになればいいのに、みんな」という言葉にはほんとに心を揺さぶられた。
永田が自分自身を受け入れ始め、プラス方向に変わったようにも思える言葉だった。

そして最後のラストシーン、
「演劇でできることは現実でもできる」
「だから演劇がある限り絶望することはない」
この言葉、私には「夢を見続ける限り、どんないばらの道でも最後には実現できるよ」という言葉にも聞こえた。

結末は切ないものだったけど、劣等感や失望感、妬みや愚かさ、そういった人間の黒い部分が細かく描かれていたと思う。
永田と沙希、どちらの目線で見ても共感できる部分があり、切なく苦しくなりました。

そして松岡茉優ちゃんの演技はほんとにすごい、、「勝手にふるえてろ」ぶりに感心してしまった魅了された!!!
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