ノラネコの呑んで観るシネマ

FUNAN フナンのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

FUNAN フナン(2018年製作の映画)
4.6
70年代、クメールルージュ占領下のカンボジアを舞台に、監督の母が辿った苦難の旅路を描く、実話ベースのアニメーション映画。
究極の反知性カルトに支配された国民の運命は、とことん悲惨だ。
平和で豊かな日常はある日突然断ち切られ、“平等”という名の奴隷生活へと変貌する。
親は子から、夫は妻から引き離され、家族はバラバラ。
子どもたちは少年兵として洗脳され、自由は奪われ、生き死にすら新たな支配者たちが決める生き地獄。
残された者の中でも、生きるために敵とも手を組む者と、尊厳だけは奪われまいとする者に溝が生まれてゆく。
カンボジアのキリングフィールドで起こったことは、様々な作品で描かれてきたが、これは一人の母の話なのでグッと凝縮されていて余計に怖い。
国境の向こうのタイに、元の祖国と同じ平和な風景が広がっているのが理不尽さを強調する。
タイトルは古代カンボジアの扶南国のこと。
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