革命によって都市から強制退去しなくてはいけなくなった一家の物語。タイトルのフナンとは、かつて現在のカンボジアやベトナム南部に存在していた国家、扶南国のこと。
ポル・ポトによるクメール・ルージュの支配下がどれほどまでに悲惨だったのかを、これでもかというほどにストレートに描き切っている。
アニメーションだからこそ表現できる痛々しいまでの現実は、見るだけでもかなりの体力を持っていかれた。
ちなみにストーリーは、カンボジアにルーツを持つ監督の母親の記憶が元になっているらしい。そして、その母親がドゥのモデルというのだから、作中の悲惨な出来事の数々は、本当に現実に起こったことなんだと嫌でも理解させられた。
歴史を知っておくという意味では、間違いなく見る価値のある作品。