ケンタロス

シャン・チー/テン・リングスの伝説のケンタロスのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます


『もう見捨てない。もう逃げない』

MCUフェーズ4の本格的な開始を感じさせる傑作でした!
前作にあたるブラックウィドウはスパイ映画としもとても満足の行く出来でしたが、MCUの流れ的にはフェーズ3.5といった感じでした。
その為か見終わった時には、今までの雰囲気を継承しつつ完結させてくれたな〜という感覚でした。

ですが、今回の『シャン・チー/テン・リングスの伝説』はやっぱりヒーローはこうだよね!という欲望にキチンと答えてくれた上に、ここまで『最初から最後までカッコイイーー!』と思わせてくれるとは思いもしませんでした笑

初日の夜の回でしたが、ギャグシーンでは笑い声が頻繁に起こり、終わった後はシャンチーがカッコ良過ぎる!という声がたくさん聞こえてきましたΣ(*'∀`*)


・作品について
見る前は『主人公はカンフーの達人だけど常人で、悪者の父親を倒す為に戦う映画』とだけ思っていました。
しかし始まってみれば見事な殺陣とアクション・華麗なファンタジーと魔法生物をテンポ良く繰り出し、何より『家族愛』を色濃く描いてくれていた脚本と演出に感動しました。
過去と向き合う事がメインのため、多めの回想シーンも現在シーンの邪魔をする事無く全体的にテンポよく盛り上げてくれました。
全体的にテンポが良く、静と道のバランスが良く、2時間超があっという間です。
これは上映時間が3時間という長過ぎる癖に全く飽きなかったエンドゲーム並みの良さだったと思います。
まさに『映画を見た!』と気持ちよく思えるような作品の一本になりました。

・主人公と敵
敵である父親ウェンウーには充分過ぎるほどの愛と悲しみが心に満ちており、ドニーイェンの力も相まって千年の孤独感と深い家族愛が強く感じ、子供達への接し方が、本当に愛しているんだな〜と分かりました。

それ故のヴィランとしての格は、個人的には正直あの名悪役キルモンガー(ブラックパンサー出)以上の魅力に満ち溢れていたと思いますし、それが最愛で最強の母と父に恵まれたシャンチーの戦士の質を極限まで高める事になったと思います。
しかし、家族の中心だった最愛の妻の死をきっかけに優しかった父が暴走していき、遂にはその心の闇に漬け込んだ魔物によって世界が滅ぶ一歩手前まできてしまう。
それを、父と過去から逃げ出し妹を見捨てたシャンチーが己の運命を受け入れ、本当は家族として愛している父と戦うと腹を決める姿が王道の主人公へのオリジンとして感動し、後半はずうっと興奮しっぱなしでした。

・アクション
戦闘シーンは全体の4〜5割を占めていると思われ、お約束の修行シーンも割と短めにしてくれて、最高潮ではとんでもないスピードになり、非常に緩急良く見れたと思います。
初回のバトルも勿体つけずにすぐ戦闘に入ってくれて良かったですね。
MCUといえばCGをフルで使いまくり!なのは勿論そうなのですが、今回は肝であるカンフーアクションを補強する事に徹しており、テンリングスでは変にビームを出したり変形したりはせず、変幻自在の打撃武器として観客を魅せてくれたと思います。
おそらく子供なら輪投げのオモチャを腕にはめて遊びたくなるかと笑

BGMと相まって、王道カンフー映画の血脈を受け継いだ新ヒーローのアクションという感じでした。

・思わぬ展開
偽マンダリンの役者おじいさんが、良かったですね〜!笑
あのモコモコ魔法生物も超可愛かったです。
闘技場で戦っていたアボミネーションとウォンも楽屋裏では何だか仲良さげでしたね笑
だけどなんでウォンはあそこにいたんでしょう...?特に理由は言ってなかったし...ウーム、、

あとデス・ディーラーよりレーザーフィストの方がスポットを当てる敵役として良かったんじゃ...?パンフ読むとレーザーフィストの事が好きになりますよ

村の魔法生物達も作品の世界観を良い意味でグッと変えて上げてくれましたし、竜と魔物の怪獣バトルにも『摩訶不思議アドベンチャー!?』と度肝を抜かれました笑
魂食らいのモンスターはRPGやトレカでは特に異質で、今までのMCUにはいなかった災厄なので、さすがダークゲートの住人、ヤバさが特に際立っていました。
あの魔物についてはパンフレットにも書いてなかったので、名前も設定も今は不明。
是非解説考察を見てスッキリしたいです。

そしてラストではシャンチーを庇い、その魔物に魂食いをされてしまい、手遅れになる直前にテンリングスをシャンチーに継承するウェンウーに、俺的ヴィランランクが最高潮になりました笑

魔物へのトドメの刺し方は最高に決まってました。

ED後は、急にウォンに呼ばれた先でキャプテンマーベル(髪伸びたー!)とバナー博士(ええっ!?スマートハルクじゃなくなってる?!)という仰天ゲスト二人に『テン・リングスは地球上でも銀河中でも未知の物質だ。尚且つ何らかのシグナルを発していて我々にも分からない』というめっちゃ不穏で手に負えない規模の事実を出された上に『君にはこれから想像も出来ない運命が襲い、戦いは避けられない』という、重圧を課せられるシャンチー....でも、
『だけどその前にカラオケ🎤しようぜぇぇ!イエェェェイ!🤣』には爆笑!!
ウォンも一緒にノリノリで歌ってんじゃないよ!笑

ちなみにキャプテンマーベル(ブリーラーソン)が出てきた時は、やっぱりダスティン監督は出したかったんだなと思いました笑


総じてシャンチーというキャラを見た感想としては、今までのアベンジャーズに充分に肩を並べられる強さを秘めており『こんな時シャンチーが居てくれれば...!』という期待にも応えてくれるスーパーヒーローオリジン譚として見れたと思います。
次回作や2代目キャップやワンダ達との絡みに期待代です(∩´∀`∩)

・疑問点、考察点
①ウォンが地下賭博にいた理由は?
②アボミネーションはカマー・タージでウォンに面倒見てもらってるの?
③ダークゲートや魔物・魔法生物は原作ではどんな扱い?
④テン・リングスを継承したシャンチーもウェンウー同様不老になった?
⑤新生テン・リングスはSWORDやバレンティン組、そしてシャロン・カーター/パワーブローカーという秘密組織が跋扈する世界の中では元々最古参だったが、どういう関係の勢力になる?
むしろシャンチーをバックアップしつつター・ロー村のような対魔物系の組織になるのでは?
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