オプティマス

ルース・エドガーのオプティマスのネタバレレビュー・内容・結末

ルース・エドガー(2019年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

何の情報も入れず鑑賞したので、黒人高校生の青春ドラマのようなものかと思っていたらそうではありませんでした。
静かで衝撃的でミステリアスな作品です。
戦争経験者の少年が優等生となったルースは楽しく自由な人生を謳歌しているように見えます。先生からもクラスメイトからも親からも信頼されています。
しかし、心のどこがでは不安にかられているかのような描写が挟まれます。いや。何かを考えているようにも見えます。

戦争経験者の少年はずっと自由のない生活でした。大人に命令され敵を殺めてきた過去かありました。その後、戦争のないアメリカへ来て、優秀な親に育てられ、世界が逆転したわけです。
しかし、自由なアメリカに来ても自由にはなれなかったのです。
親や学校が過剰に期待するのです。「戦場で育った少年を受け入れて優等生に育て上げた学校」。アメリカや学校の魂胆はそこです。優秀なルースですから頭の中にずっとあったのかもしれません。そしてもし、言い訳のできない犯罪を皆に知れ渡ってしまったら自分のことはすぐ手放してしまうことも彼は知っているでしょう。
演説練習の時の涙は幸せの涙ではなく、この世に自由はないと悟っていた苦しみの涙かも知れません。
この作品を見て、真実がなんなのかは分かりません。全部真実かもしれないですし、全て嘘かもしれないですし、全員が敵に見えてるかも…彼の心の中は未だ戦争中であるということです。

次作はキャプテンアメリカ4ということで若干批判的な意見でしたが、今作を見たあと少し期待してしまいました。