ぶみ

ルース・エドガーのぶみのレビュー・感想・評価

ルース・エドガー(2019年製作の映画)
3.0
あなたは人間の本性を見抜けるか。

J・C・リーによる戯曲『Luce』を、ジュリアス・オナー監督、ナオミ・ワッツ、ケルヴィン・ハリソン・Jr等の共演により映像化したドラマ。
学業、スポーツ両面で優れた成績を残す高校生、ルース・エドガーだが、ある出来事をきっかけに、彼と養父母らの幸せな日常が動き出す姿を描く。
主人公となるルースをハリソン・Jr、彼の養父母をティム・ロスとワッツが演じているほか、高校の教師としてオクタヴィア・スペンサーが登場。
物語は、非の打ちどころのない高校生ルースの提出したレポートの内容に疑義を感じたスペンサー演じる高校教師が、彼のロッカーをチェックしたことから、彼の日常が揺らいでいく様が描かれるが、そこから正論で攻めてくる教師、それに対抗するルース、彼を信用したい養父母とのヒリヒリとしたやりとりがメインとなり、一気にサスペンス色が強くなる。
そこに横たわっているのは、紛争が続くエリトリア出身というルースの系譜と、彼の行動をきっかけとして、アメリカの本音や建前が見え隠れするものであり、そういった背景を理解していないと、何が起きているのか、よくわからない部分があったというのが正直なところ。
そんな中でも、傍から見ると優等生でありながら、果たして、本当にそれが真の姿なのか、実はとんでもない裏の顔を持っているのかわからないルースや、彼の姿に不安を掻き立てられる養父母等を演じたキャストの演技力は素晴らしいもの。
盛り込まれている問題は、社会派作品として、多分自分が感じた以上にあったのだろうと感じるとともに、前述のようなヒリヒリとしたやりとりだけでも、目が離せなくなった一作。

皆にとって僕は、聖人でなきゃ怪物だ。
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