水深6メートルのプールに閉じ込められた男の命懸けの脱出劇。
ただそれだけなんですが、次から次へと間の悪い出来事が起こりドンドンドツボにハマっていくわ、要所要所で助かるチャンスはあるのにコトゴトク棒に振るわ、ただプールから出られないだけじゃなく彼女から妊娠を告げられるとゆー、命の危険だけでなく男としての追い込みもかけられるてのが斬新なシチュエーションスリラーw
………なんてゆーレビューを頭の中で先行させながら見てたんですが終盤、脱出できたと思ったらもう一個、別のプールに出てきちゃった!とゆー展開になってワタクシ「おいちょ待てよっΣ(゚д゚lll)」てなりました。
「そこ…どこっ?!」
まずハシゴのない飛び込み用プールて時点でツッコミドコロなんですが、まぁそれは目をつぶろうと思っていたんです。
思っていたんですが!
隣にもう一個おんなじ様なプールがあるてどーゆー事?!
飛び込み台から全然届かないんですけどっ!
そこどこっ?!何するとこっ?!
もういい加減「早く終わんねーかなー」と思いながら見てたので、ストーリーに関してはどーでも良くなってたのですが、この立地に思いがけず食いついてしまったんですね。何なのココ?て。
で、アレヤコレヤ妄想の翼を広げ続けていった結果ワタクシ、ある恐ろしい仮説に辿り着いてしまったのです!
ここから先はこの作品に対して好意的な方だけお読み下さい。当然視聴済みである事も条件ですよ?でないと何言ってんのかサッパワカランてなりますからね?
言いましたからね?
…クッッッソ長いですよ?
言いましたからね!
まず思い出して頂きたいのがこの顛末の事の発端。主人公デイがプールで居眠りしてしまう場面。
バカか?いや…バカか!とゆー場面ですが、いや、確かにデイはバカなんですが実はここは致し方ない。避けられない状況に既に落ち込んでいたのです。
撮影スタッフとして同僚であり、親友でもあるメヨムが水を抜いたと注意しているにも関わらず眠り込んでしまうデイ。おかしくないですか?
そう!そうです!眠らされたんです!
彼は糖尿病患者です。毎日インスリン注射を打たなければなりません。ここに密かに睡眠導入剤が仕込まれていたのです。
インスリン注射は皮下注射です。即効性があります。もしかしたらメヨムの声は聞こえていたのかも知れませんが、理解するまでには至らなかった。結果として手遅れになってしまったのです。
しかし一体誰が?何のために?
ここで主要な登場キャラを振り返ってみましょう。
デイ。コイ。イヌ。ワニ。
そう。その通り。ただもう1人。今までの話の中で名前の上がった人物がいましたね。
そうです。撮影スタッフの1人であり、デイとコイの共通の友人でもある「メヨム」
彼の仕業だったのです。彼が注射器に睡眠導入剤を混入させていたのです。
糖尿病患者にとってインスリンは絶対に欠かせない大切なモノ。それを任せられる程、メヨムはデイにとって信頼のおける人物。そんな彼が何故?
ここからはあくまでも推測ですので、そこの所ご了承ください。
クッッッソ長いですよ?言いましたからね!
メヨムとデイは幼馴染でした。
メヨムは裕福な家庭に生まれ、何不自由なく育ってきた。一方デイはスラム街出身で貧乏、そして大家族の長男でした。
劇中、デイがメヨムにプールの清掃代を要求したり、ピザを奢れと言ったりしているので、金銭的な面から見るとメヨムの方が恵まれている事が判ります。
そんな境遇の違う2人が生涯の友になった理由。それはお互いの家族関係にありました。
メヨムは確かに恵まれた環境で育ちましたが両親が不仲でした。何不自由ない暮らしをしてはいましたが、愛情というものを知りませんでした。デイはと言えば、どん底の生活でした。劇中でマッチもコンロもなく、洞窟暮らしと言っていましたが沢山の兄弟とシングルマザーを支えながら仲良く暮らしていた。お金はなくとも愛情に溢れた日々を過ごしていたのです。
メヨムがデイの家に通い詰める様になったのも不思議ではありませんでした。
そうして育まれていった友情の中、悲劇が起こります。デイが10歳の頃、1型糖尿病を患ってしまうのです。
メヨムは悲しみました。彼が無神論者になったのはこの頃です。そして誓いました。「俺が一生デイを支える」と。
それからの彼は自ら兄貴分としてデイに接し、あらゆる面で世話を焼き始めます。
アートディレクターとしての道を進めたのもメヨムです。デイはバカです。顔しか取り柄がない。ミテクレの業界でなら何とかなるかも知れない。そう考えたメヨムは彼自身もまた、その道を進み始めます。
しかし、現実は甘くない。
デイは本当にバカなんです。全く成果をあげられない。世渡りの上手いメヨムはドンドン出世するのに対してデイはいつまでたっても使いっ走りのまま。これは2人も気づいていない事でしたが、友情関係はいつしか主従関係の様に変化していました。
コイが現れたのはそんな時でした。
メヨムが手配したケータリングサービスの従業員として現場にやって来た彼女を見て、一目惚れしてしまったのです。メヨムが。
しかし愛情を知らない彼はどう接していいか判らない。そこで弟分であるデイを利用します。イケメンを利用すれば何か突破口がある筈だと。
ところがここで運命のイタズラ。
デイとコイが恋に落ちてしまうのです。
ここまで順風満帆な人生を送ってきたメヨムにとってこれは裏切りという言葉では済まされない程の衝撃。
そして思い知らされたのです。「俺には愛される資格はないのか」と。
コイが妊娠している事を知った瞬間、無神論者としてシニカルな思考のまま大人になったメヨムはある計画を思いつきます。
「デイを殺す」
これはただ恋敵を排除するという事だけではなく、無神論者の彼が神に挑戦した訳です。
親友、いや兄弟と言っても過言ではない男に殺意を抱いた。俺は兄弟を殺す。神よ、デイを救ってみろ!と。
ここから彼の持ち前の才能がフル稼働し始めます。
監督の信任も厚い彼は、ロケハンなんか自分で決められるくらいの立場。自分がこれから仕掛けるゲームに適した環境を探します。
ほどなくして完璧なロケーションを発見。
そこはかつて飛び込み競技の会場として使われていたプール。
大規模な会場でプールが2つもあるのですが、老朽化が進み、既に解体が「始まって」いた場所でした。
飛び込み台も、2つあった内の1つは撤去され、タラップも撤去済み。後はコンクリートやブロック塀を解体する為の重機を搬入するだけになっていた所を無理を言って中断してもらいます。
さぁ舞台は整いました。
…まだ続きますよ?
撮影が始まります。
メヨムは本来予定になかったシーンのアイデアを監督に耳打ちします。
「犬がジャンプする画を入れましょう」
そしてデイの飼い犬ラッキーを連れてくる様にとコイに頼みます。
これで役者も揃いました。
そうです。メヨムはコイも、ラッキーさえも消し去ろうと考えていたのです。
ただ、一方的な攻撃にはしたくない。このままでは騙し討ちだ。これはあくまでも俺と神との戦い。「ゲーム」なのだから。フェアでいたい。
撮影が終わり、いよいよゲームスタートです。
まずはセッティング。
睡眠導入剤を混入済みの注射器をテーブルの上に置き、残りはケースごと側溝に落とす。これはデイがマンホールを通って排水溝を通る事を見越しての仕込み。
更にテーブルの足を直している所を見せて、テーブルが傾く事を暗に知らせる。
次にラッキーを予め用意していた鎖で繋ぐ。この鎖の長さは調節済み。これこそがキモなのですがこの件はまた後ほど。
ピザを頼んだのはフェアプレー精神から。ここで配達員がデイの状況を目の当たりにすればゲーム終了。しかしそうはならないだろう事をメヨムは判っていたと思われます。
カーブミラーの角度。自動でつく照明。そしてメヨムにとって幸運な事にワニの脱走事件がオマケでついてくる。彼は運命が自分に味方していると感じたでしょう。これら全ての仕込みをデイの目の前でやってみせます。フェアプレー精神として。
そうして自分は3ヶ月海外で仕事をすると伝えてアリバイがある事を宣言し、その場を立ち去ります。
しかしいない間の事も保険をかけてあります。
スラム街で見つけた路上生活者を捕まえてドローン撮影を依頼するのです。そうして途中経過を確認する。もしここでデイの切迫した状況をあのオッサン達が見つけてしまえばゲーム終了。
しかしこれすらもメヨムにとってはいらぬ心配と思っていた筈です。何しろ運命は彼に味方しているのですから。
更に言えばメヨムにはより勝ちを手にできる確信があったのです。それはコイもなかなかのバカだという事。
現場に呼び出せば、妊娠中という事もありデイにベッタリになるだろうと。プールにも飛び込むだろうと。まさか頭を打ちつける事までは想定外だったでしょうが、目的からすれば好都合。
現にデイはコイを救う為、バカなりに頭を使って様々な脱出法を試しますがその全てがメヨムの掌の上だった訳で、ゲームマスター冥利に尽きる展開。
そしてやがて最終局面。笛とラッキーのジャンプ芸。
メヨムが残した最終脱出手段です。これが恐ろしい。ラッキーの体長と鎖の長さを調整して、ちょうどデイがよじ登れる様に細工していたのです。だがその為にはラッキーを犠牲にしなければならない。果たしてデイはこの手段に気がつくのか。そして気がついたとしてその方法を実行するのか。
ここです!ここなんです!メヨムが最も重要と考えた局面は!
この世に神がいるならば、愛し合う者同士の命を救う為、誰かを犠牲にするのか?または誰を犠牲にするのか?
お集まりの皆様におかれましては、この物語の結末はとうにご存知の事かと思われますが、メヨム本人は一体どんな気持ちになったでしょう。
…実はね。私はね。
メヨムはもうこの世にいないと思うのです。
デイ達が助かろうが助かるまいが、そこはもう問題ではない。
ゲームをプレイするには必ず対価を支払わなければならない。それも相手が神となればそんじょそこらのクレジットでは済まされない。
自分が愛されない存在だと知った時点で彼はもう覚悟を決めていたのだと思います。
ただ、デイやコイ、ラッキーに至るまで、本当に好きだった。心の底から愛していた。自分は愛されてはいないが、愛する存在は確かにいた。彼らと離れたくない。そんな思いが彼を今回の凶行に駆り立てたんじゃなかろうか。
そう思えてならないんですよ。
結局、…後味は悪かったですね。
真相を明らかにすべきじゃなかったかも知れない。申し訳ない。
せめてあの世で彼の罪が許される事を願いましょう。
彼はただ…愛されたかっただけなんですよ…
………とか言っとかなこんなクソ映画しょーもな過ぎて「時間返せ我ェ!!!」つってテレビぶっ壊してまうやろがいボケェェェェッッッ!!!∑(゚Д゚)
おわり。
蛇足:終始痛々しいのですが、ゆでたまごの件はなんか笑ってしまった…
蛇足の蛇足:最初に「動物の虐待はしてまへん」と断り書きが出るので「あーそーゆーシーンがあるのねー」て思っちゃって犬が出てきたから「あーこの犬ねー」て思っちゃってやっぱりそーゆー展開で超胸糞ウケルw
蛇足の蛇足の蛇足:YouTubeで「ザ・プール」て検索したらほぼ「デッドプール」になりますね…