猫目ラヂヲ

アラビアンナイト 三千年の願いの猫目ラヂヲのレビュー・感想・評価

3.7
この映画で3つの願いならぬ3つの衝撃を受けたポイントは以下の通りです。

1. 電動歯ブラシの使い方
2.素材と弱点が意外すぎた三千年もののジン
3.最早ファンタジーの住人、ティルダ・スウィントンの美貌

特に、ティルダ・スウィントンは人間離れした美しさなので、普通の人の役で浮かないのかすごく気になっていました。
杞憂でした。最初から幻覚が見えても違和感がないくらい、浮世離れした役にしてしまえばよいという発想。脱帽です。
サイズが合ってない高級ホテルのバスローブを着ているジンと二人並んでベッドの端に座るところがイチオシ。
自由になりたいので絶対に願いを叶えたいジンvsオチを知っているので断りたいアリシアの攻防が、ホテルの一室から始まって思いがけない方向に話が広がっていくところは、正にアラビアンナイトそのもの。
ジンの語りで色鮮やかに蘇る過去のシーンは、誰もが納得の出来栄えでした。
ところで、アラビアンナイトは、物語る事によって、自分の運命を切り開くという要素が軸にあると思っているのですが、その観点でこの作品を見た時、シャハリヤール王がアリシアで、ジンがシェヘラザードに見えなくもないなと思いました。
物語る事によって運命を変えたのは誰か、物語によって変わったのは誰か。色々と考えてしまいます。
ファンタジー映画が好きな人にはもちろんですが、孤独と折り合いをつけたい人にもオススメしたい作品です。