mori

hisのmoriのレビュー・感想・評価

his(2020年製作の映画)
5.0
迅くんの三日月耳が、指先が、終始色付いていたのが印象的。映像としてとても好き。

カミングアウトの場面は、今泉さんが「彼らは公開することを選んだけれど、必ずしもそうしろという訳ではない」といった内容を呟かれていた通りだと思う。
会社員として働いていた頃に傷付けられた迅くんが、白川町の方との交流を通して「ゲイの自分たちに世界は優しくないと決めつけていたけど、優しくないのは自分だと気付かされ」て、自ら自分のことを話した場面は、彼が再び世界と繋がろうとした始まりの場面に思えた。そうなんだよ、親しくなると自分のことを話したくなるんだよね。

渚も裁判で「一番弱いのは自分たちだと思い込んでいた」と言っていた。裁判の争点がゲイに対する偏見から玲奈の育児に対する責任に移り変わっていく。いま受け入れてくれる人たちがいるからといって、ゲイとして差別されたことが無くなる訳ではない。でも皆それぞれの立場で痛みを抱えて生きているんだと感じさせる、バランス感覚が気持ちいい作品だった。
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