このレビューはネタバレを含みます
【自分自身の偏見と特別視】
LGBT Q映画としては、新たな境地に入ったような気が、個人的にします。これは、『窮鼠はチーズの夢を見る』にも言える事なのだけど、【差別に耐える】【差別に負ける】という時代から、一歩二歩進んだ感じがする。
つまりは、自分自身への差別・偏見・特別視を描く段階にきたのだと感じた。
作品の中で、渚自身も言う。
『自分が一番弱いと思っていた』と。
自分がゲイだからと、特別視し甘えてきた事に気付いた。
確かに、妻がありながら、男と浮気を繰り返すなんて、ダメだし、
離婚調停中に昔の男の所に行くなんて、非難されるべき。
なのに、渚は、軽い。
『ゲイだから』という甘えが、
見え隠れするのだ。
裁判を通して、渚は、
妻が責められるのを見て、
考えを改める。
弱者は自分ではないのだと。
自分が悪いのだと、やっと心から気付けたのだと思う。
藤原季節さんって、初めましてやったけど、すごく、いい俳優さんですね。メモメモ。
とにかく、娘ちゃんとの触れ合いが、本物の親子のようだし。
これは、藤原季節さんが凄いのか、子役が凄いのか、もお、分からないんだけど。
超自然でね。
その醸し出す雰囲気が、ただの親子じゃなく、主婦業やっているパパと娘のものなんだよね。
その絶妙な距離感よ!
まぁ、それが、びっくりしたよね。
そして、初めに転がり込んできた時の、いわゆる『一番不幸。ゲイだから仕方ないじゃん?』とめちゃくちゃ虚勢張ってる時と、
迅に受け入れられて、安心している姿。
そして、ラスト。自分の甘えに気付いてからと、表情やら雰囲気が違って、渚の心の変化が手にとるように感じれた。
存在感のある、いい役者さんだと、改めて思います。
まぁ、髪の毛だけねぇ。
アレだけ、どーにかして欲しかった。短い方が絶対男前やと思うわ〜。
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そして、氷魚様️
やっぱり、雰囲気持ってるよね。無口だけど、伝わるよ〜。
あんなに美しいのに、男気が伝わってくるんだよ。
渚とそらちゃんを、守っていきたいっていう、熱い想いがね。
そして、何気に松本若菜さんが、
良い演技でした。
この演技があってこそ、法廷シーンが活きてきたと思う。
コミュニティの人達がいい人ばかりで、ハートフル。
夢物語かも知れないけど、時代は移り変わっているので、そういうワケでもないかも知れない。
そうだと、いいなぁ。
歳をとり、2人で生きていく様。
田舎くらし、渚は職人になって、たまに、そらちゃんが遊びにくる。
元奥さんが、彼氏を連れてやってくるかも知れない。
そんな想像が容易に出来るほど、2人の演技は、その景色の中にしっかりと馴染んでいた。
関係ないけど、
hisと、窮鼠〜と、
主演キャスト入れ替えて、演じてみてくれないかしらねぇ。
どちらも、奇跡のキャスティングやと思うから、また、名作が誕生すると思うけどねぇ。