HosoYankovic

hisのHosoYankovicのネタバレレビュー・内容・結末

his(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

かなり社会派な作品だとは予想外であった。日本は人権に於いては圧倒的に後進国で野蛮である事をリアリティを持って炙り出す非常に意義のある作品だと思う。幼児とゲイというマイノリティに対する生き辛さをリアルな家事事件を交えながらも上手く描いている。幼児を意味するinfantはラテン語が語源で「話すことのできない者」を意味する。幼児という大人社会の問題に巻き込まれた幼児もまたゲイと同じマイノリティなのである。特に未だに野蛮な単独親権国家である日本の弊害を離婚訴訟の場でロジカルにあぶりだすシーンもまた非常にリアルで良く出来ていた。子供の視点を置き去りにした日本社会に対する皮肉、母子優先と言う時代遅れな判例主義の日本を同性愛者と言う立場だからこそ伝えられる皮肉。子は鎹と言う普遍の真理に従えば自ずと社会の仕組みを変える方向性は決まるはず。親権争いなど野蛮な事を未だに行っている日本の闇を絶妙なバランスで描いている事に感心した。岐阜の自然と東京家裁を中心とした東京とのコントラストも素晴らしく現実的には非常に稀なケースのエンディングだが、未来は子供が創るのだと言う願望と解釈して観ました。