TaiRa

hisのTaiRaのレビュー・感想・評価

his(2020年製作の映画)
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ドラマは観てないけど別に問題なかった。他人の脚本でやってもちゃんと今泉映画にするよね。

学生時代に別れたゲイのカップルが数年後に再会して云々という話だけど、これあまりLGBTであるかどうかは関係ない話になってる。良い意味で。より普遍的な問題だし、そう扱うのが真摯にも思える。もちろんLGBTの人々に降りかかる諸問題もきちんと取材した上で書いてるけど。その上で同性愛者を「特殊な」人として見ない所から始まっている。それに加えこの物語を推進させる存在は、理解を示さない社会や差別的な悪人とかではなく、どうしようもなく自分勝手なダメ男=渚という人物なのだ。もうここまで困った人間が絡むと同性愛だろうが異性愛だろうが関係ない。恋愛や結婚において普遍的な困った話になる。渚のどうしようもなさが許せてしまうのも藤原季節という役者の魅力か、もしくは困りながらそれを許しちゃう迅=宮沢氷魚の色っぽい気怠さの説得力か。ゲイだけど異性と結婚して子供作った、みたいなケースはいくらでもある。そういう時の結婚相手ってどんな心境だろうってのも描いてる。役柄的に損な玲奈を松本若菜がやっていてこれも良い。エピローグにおいて彼女が主人公になるのも優しさか。最後の台詞とラストカットがとにかく良かった。偶然なのか演出なのか分からないが子供のあの反応が救い。
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