常夏のバカンス

禁断の惑星の常夏のバカンスのネタバレレビュー・内容・結末

禁断の惑星(1956年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

SFの金字塔的作品にド素人がレビューするのは無粋だと思うが、自分のメモ用に…


終盤の
「心の悪魔と戦うために法と宗教がある」
「我々は神ではない」
というセリフが印象的だった。

神のごとく発達した知能を持っていた惑星の先住民クレルとモービアス博士。両者共に自らの負の潜在意識から生まれた化け物イドに滅ぼされる。

この映画に教訓が込められているとすれば、「どんなに優れていたとしても驕ってはならない。その驕りはいずれ自らを滅ぼすことになる」ということではないだろうか。

気に食わない存在を消したいとか、他者を意のままにしたいとか、そういう自分本位な欲求は誰の心にも潜んでいる。でもヒトは生き物としては非常に無力でかよわいので、ヒト単体の力では大したことはできない。しかしテクノロジーがあればできてしまう。

この作品で「イド」という抽象的な化け物として描かれていたそれは、現実世界でいうところの武器や権力なのではないかと思う。


舞台美術も結構独創的なデザインでよかった。クレル人の遺構がどことなくインダストリアルな面持ちだったり、楽園のような享楽的なジャングル?が出てきたりしておもしろかった。50年代の考える未来世界というのはこういう感じだったのだろうか。レトロフューチャー好きにもおすすめ。

CG技術が発達した今となってはチープなかわいさを感じるが、当時としてはかなりお金をかけていて最新技術だったことが想像できる。


余談だが、従順で健気なロボット、宇宙船の羅針盤(透明な地球儀と円状のカウンターのようなもの)とか、クレルの作った黒い四角が並んだ深い谷?のような場所とかが、どことなく天空の城ラピュタを思い起こさせた。もしかしたら本作の影響を受けたのだろうか。
このほかにもどこかで見たような絵面に感じる場面が多く、本作は多くの作品に影響を与えていたのではないかと思う。