HAYATO

スミス都へ行くのHAYATOのレビュー・感想・評価

スミス都へ行く(1939年製作の映画)
4.0
2024年70本目
『素晴らしき哉、人生!』などで知られる名匠・フランク・キャプラ監督による社会派ドラマ
腐敗した政界にひとり立ち向かう新人議員の魂を焼き付けた名作
急死した上院議員の代わりに、政治の世界に担ぎ出されたスミス。政治家たちは、政界の事情を全く知らないスミスを傀儡にしようと目論むが、彼は熱意を持って政治活動を行う。ある日、議員の不正を知った彼は、それを議会で追求しようとする。
原作は、ルイス・R・フォスター作の『モンタナから来た紳士』。
第12回アカデミー賞で、作品賞を含む合計11部門にノミネートされ、脚本賞(原案賞)を受賞。
主人公・スミスを『裏窓』のジェームズ・スチュワートが演じる他、『我が家の楽園』のジーン・アーサー、『カサブランカ』のクロード・レインズ、『風と共に去りぬ』のトーマス・ミッチェルなどが出演。
主人公のスミスは、現実世界にはなかなか存在しないレベルの純粋な人物。
腐敗した政界の中で、巨悪を相手に戦い続けるスミスの姿は、まさに「孤軍奮闘」といった感じ。
一度議長から発言権を与えられたら、それを他の議員に譲らない限り話し続けることが可能な議会のシステムを利用し、スミスがクタクタになりながらもひたすら話し続けるクライマックスが最大の見どころ。
緊張で声が震えていた議員になりたての時とは打って変わり、力強く語り続ける姿は非常に逞しく、言葉の1つ1つが胸に響き渡った。
終盤の盛り上がりは圧巻だったものの、ペインが改心する最後の最後の展開は、やや唐突に感じられた。
納得のいかない現実を目の当たりにして絶望するスミスを、リンカーン像の前で秘書のサンダースが「信念を持つ人間には必ず敵がいる」という言葉をかけて励ますシーンが印象に残った。
HAYATO

HAYATO