Aki

スミス都へ行くのAkiのレビュー・感想・評価

スミス都へ行く(1939年製作の映画)
4.6
なんという面白。


スミスは理想家で、少しヌケていて純粋すぎるキャラクター。美人を前にしどろもどろなのも愉快で、帽子を取り落としたり、テーブルを倒したりと演出が細かく丁寧だ。

サンダースは作中ではヒロインとして突出している訳ではなく、しかし秘書としては有能かつ男性にも負けない力強さを持ったキャラクターとなっており、好印象。
中盤で、スミスの真摯な物事の向き合い方に触れ、次第にその人間性に好意を持っていくシーンが凄く良い。観賞者とヒロインが、同時にスミスに気持ちが入っていくような感覚。スーザンの名前を出してさり気なく嫉妬している様子も、つぶさに演出している。
また、それでいてラブロマンス要素が最小限に抑えられている点も上品に感じられてかなり好き。基本的には思想と気持ちの通じ合った同志という関係性なのが良い。


スミスの純粋さや直向きさが、当初は侮り、嘲っていた人々の心に響いていく展開が感動的だった。
アクションなどは無く、出てくるロケーションもほとんど変わり映えのしない本作において、最後の大演説シーンではそれらを補って余りある胸に響く大熱演が繰り広げられており、迫力がすごい。
ラスト、ペイン越しにスミスが隣人愛を熱弁するカットでは、目線は向いてないものの第4の壁を通じて大衆に語りかけているかのような名場面。

自然と涙が出ました。


女性、子ども、黒人をフィーチャーするカットがあり、それぞれに対してのこの映画の眼差しが暖かい。

当時のアメリカでの政治的な内容を噛み砕いて説明する部分などもあって、啓蒙的な機能も果たしていたのかなと思った。

それにしてもジェームズスチュワートは口笛が上手いなァ。
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