くさむすび

KCIA 南山の部長たちのくさむすびのレビュー・感想・評価

KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)
4.8
かなりの期待値で鑑賞。はるかに期待を超えていった大傑作だった。『タクシー運転手 約束は海を越えて』の民衆運動ドラマ要素、『1987 ある闘いの真実』の権力を悪用する公権力要素&感情の高め方、『工作 黒金星と呼ばれた男』のスリリングさを抽出したような作品。これらに代表される韓国映画お得意の実録政治サスペンスドラマに比肩できるクオリティの高さでありながら、ここに重厚な雰囲気漂うノワール風味、よくある韓国ノワール的ではない演出が加えられることによってここまで濃密で面白い作品が作れるとは!
キャッチコピーもそうだし、結末が先に提示されるように「何故大統領を殺したのか?」という映画の目的は分かっているのにも関わらず、緊張感のある展開に冷や汗が止まらない。私情で動くのか、より良い国のために動くのか。揺らぎ続ける心情を、ほぼ笑わないイ・ビョンホンの悲哀顔だけで完璧に読み取れてしまうような演出も冴え渡っている。一度『インサイダーズ 内部者たち』で構築されたウ・ミンホ監督×イ・ビョンホンの信頼関係があるからこそ為せる技だと思いました。また随所に出てくる盗聴という行為にハラハラしてしまう。特に小さな物音だけでビクッとなってしまうような、会食を盗聴するシーンの見せ方の緊迫感といったらもう最高である。「バレたら不味いことになる」感がヒシヒシと伝わってきて怖かったです。あとイ・ビョンホンがすってんころりんするシーンがあるんですけどシリアスな場面でよくそれ入れられるなと感心した。
先程も述べたように表情を変えないながらも確実に何かが動いているイ・ビョンホンの顔の演技、イ・ソンミンの貫禄溢れる声の威圧感。
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