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KCIA 南山の部長たちのpenのネタバレレビュー・内容・結末

KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

韓国で実際にあった大統領暗殺事件を実行犯の中央情報部部長の目線から追いかけた実録映画。この映画で描かれた事件の後に全斗煥の軍事政権が始まり、映画でいうと『タクシー運転手』『1987』へと繋がっていくので、韓国の時代の流れを映画で追うのが好きな人にも必見。

とにかくイ・ビョンホンが素晴らしい。笑顔を一切封印しながらも、かつて共に革命を成し遂げた同志たちとのすれ違いから、哀しみや怒りが滲み出る。スパイ映画のような諸外国との駆け引き、渦巻く陰謀が映画を盛り上げるが、愛憎の人間関係の中心にいるキム部長の心情を追いかけていくだけでも沁みるものが多い。周りの役者陣も素晴らしいからこそ印象深いというのもある。警護室室長のごますり具合が最高に厭で最高。閣下役の人が『工作 黒星と呼ばれた男』の北朝鮮側のあの人だとは思わなんだ。

小道具が上手く使われていると作品に対する好感度が高いのだが、本作では煙草が印象的。火をつけ合うという行為は物理的にも相手に近づく手段でもあることを感じる。それが出来ない、させてもらえない故に離れざるを得ないキムの姿が切ない。

本編が2時間なので1時間毎に山場があるが、どれも素晴らしかった。フランスでの元部長を処理するシークエンス、風で飛ばされる帽子から始まる遂行がツボ。終盤の暗殺実行の、決してスマートではない流れも良かった。血で滑る!
1月から好きになれる映画を観られて良かったです。
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