アラシサン弐

シン・ウルトラマンのアラシサン弐のレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
4.8
庵野の贈り物。

冒頭30秒程で、物心ついた時から現在まで自分が培ってきた特撮への浪漫が物凄い熱量で頭から爪先まで巡り、終わる頃にはヲタク人生そのものを肯定して貰えたような、そんな感動を覚えた作品。

この映画が発表された当初、本作のウルトラマンが「真実と正義と美の化身」を再現したデザインだという発表に「あ、これガチファン以外置いてけぼりじゃない?」と心配した特ヲタは私だけでは無かっただろう。

実際、新規ファンを突き放すまではいかないけど、トリビアを堀り下げ尽くしたシン・ヲタクが優勝する内容ではある。
けどそれでいいのだ。
あの頃から男の子本能を忘れなかったヲタク達への、庵野監督からのご褒美だから。

特ヲタピラミッドの頂点に立つ庵野脚本だけあって、シン・ゴジラにもあったオマージュは顕在どころか、さらにやりたい放題感を増し、とんでもなく深く、しかも細かい。

台詞、効果音、アングル、殺陣の内容、チョップのリアクションに至るまで、あらゆる所で小ネタか挿入され、終始ニヤけさせてくれる。

ウルトラマンに通底している、
「人間の所業で返ってくる厄災」「代理戦争人としてのウルトラマン」「ウルトラマンがいれば人間は必要なくない?と悩む防衛隊員」といったテーマも勿論描いているのだけど、そこに現代的なアプローチを加えて再解釈していて、こういう問題提議と回答は50年が立っても描くことがある内容なんだなと思った。

特撮あるあると現代のモチーフを融合させたシーンも沢山あって楽しい。
アプリを使いこなす宇宙人、ネットでバズる女性隊員、各国にアピールしたくて仕方ない日本政府。
過去に描き尽くしたことに、さらにプラス現代社会を介入させるのはどれも秀逸。

あと個人的に好きだったのは、要所であのとき子供ながらに思ってたツッコミ所を大人になってほほえましく思えるようになった今、登場人物達がこちらの代わりにツッコんでくれるところ。
「透明の意味ないじゃん!」は確かに僕もずっと思ってたよ。
アラシサン弐

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