アイスティー

シン・ウルトラマンのアイスティーのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
4.2
日本発の活劇エンターテイメントとして、ここまで胸高鳴る作品を見たのは本当に久しぶりだった。
飽きる隙を与えない作劇密度に加え、粋なセリフの応酬をハイテンポな編集で一気に魅せていく爽快感。
冒頭の状況説明の点描は流石に早過ぎると思ったけど、今の10代にはドンピシャな速度な気もした。
ひしめき合う劇場で見ていても、集中力を切らしてる人が誰一人居ない凄まじさ。
最後まで自我の付け入る隙がないって、どれだけ映画作るの上手いんですかと、、
編集のクオリティーが神がかってるとしか言いようがない。

特撮とCGの融合も違和感なく、素晴らしかった。CGはもう少しテクスチャ感があっても良いかなぁーと思いましたが。

普通なら浮いてしまうキャラクター色の強い台詞を自分の言葉にしている長澤まさみさんを始め、抑制的で余計な主張を一切持ち込まない斎藤工さんのストイックなお芝居にも胸打たれた。
コンフィデンスマンJPでの経験とか、きっとこういう所に生かされてるんだろうなと思い、役者にとってドキュメント色の強いリアルなお芝居を追求することだけが正義じゃないのかもしれない——と気付いた。

パソコン画面に映るインスタやYouTubeのショート動画のサムネイルデザインなども、フォントやタイトルのワードチョイスも含めてめちゃくちゃ緻密に作り込まれていて、「シン」を作るんだ!という精神が細部に宿っていた。
「怒ってる?怒ってるの?」のサムネタイトルはセンス良すぎて声出して笑った 笑

そしてなんと言ってもヒーローの行動原理が「贖罪」に根ざしている所が日本人っぽくて好き。
この作品を通して、いまを生きる自分もウルトラマンを求めていたのだと気づいた。
本当に素敵な作品だったなぁー。

海外の人の目にはどう映るのだろうか?
仮面ライダーもいまから楽しみで仕方がない。

オリジナルにも忠実という声を多数聞くので、「何をシン化したのか?」という視点で、まだ未見のオリジナル版を見てみようと思います。