久々の映画館。庵野はいま1番肩の力を抜いて作品を作れているのではないだろうか。見ている側も満足できた。
はっきり言うと、ウルトラマンが好きで見るか、庵野が好きで見るかで評価は変わるだろう。私はどちらも好きなので満足。ただ、ウルトラマンとして、少し思うところがあり、シンゴジラより評価がわずかにさがるが、これはウルトラマン好きのオタク感情なので、そんな感情なければ楽しめる。
シン・ゴジラと比較されていくだろうが、こちらの方が、エンタメ度、原作意識度は高い。
もちろん、庵野自身の視点、こだわりも高いが、まとまりがよいのは、樋口監督の手腕が大きいだろう。
この作品も、繰り返し見て、たくさんの発見ができるものに仕上がっている。なかでも感じるのは音楽だ。当時の音楽や効果音が使われるだけでわくわくする。これは単なる懐古ではなく、色褪せないうえに、収まりがいいのだ。
宇宙戦艦ヤマトのリメイクにも通じるが、当時の音楽の色褪せなさは、旧作ムラマツキャップを演じた、小林昭二の語った、子ども向けだろうが手を抜かずに本気で作り上げたからこそであろう。
以前から感じていたが、日本のサブカルチャーの本質がそこにあるのではないか。
ハイカルチャーには行かなかったが、そこで魂を注ぎ込む。それを子どもたちに響いたからこそ、大人にも響き、日本独自のサブカルチャーが形成された。声優が俳優であることもそれを示唆している。
シンゴジラやシンウルトラマンはアニメではなく、実写、特撮であるがゆえに、普段ハイカルチャーにしか触れない人々が、サブカルチャーに関わり、作り手も視聴者も新しい化学反応が起きていくのではないか。改めて庵野作品を見ると感じさせられる。
ネタバレなく語れることはこんなところか。