しん

シン・ウルトラマンのしんのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
3.4
生まれる前の作品ではありますが、『ウルトラマン』は大好きなドラマです。それを前提に本作を見ると、どのパートも及第点以上のできたったと思います。

最高だったのはウルトラマンのフォルムですね。CGではありますが、あの洗練されたフォルムは、観る者を惹き付けてやみません。50年以上も前にあのフォルムを考え出した製作陣に、改めて最大限の敬意を払いたいと思います。

ストーリーも無難にまとまっていました。メフィラスやゾフィーを登場させることで、人間に対する仄かな警鐘も漂わせながら、基本的には友情もの、チームもの、バディものの王道に沿った構成で、誰が見ても楽しめたのではないでしょうか。特に科特隊(あえてこう書きます)は、非常にバランスのとれた演技で、シリアスながらそれ自体がコメディでありフィクションであるという作品の本質を的確に表現していました。また、アメリカや中国を下手に登場させなかったことで、2時間弱ながら上手くまとめた印象です。

残念だったのは、ウルトラマンの葛藤(狭間の存在)が語りの量の割に上手く伝わってこなかったことです。非常にバランスの悪い存在であるウルトラマンが、それでいながら人間を守るという「意志」を持つに至る過程は、もう少し丁寧勝つ叙情的に描かれても良かったのではないかと思います。それがあれば、単なる特撮ものではない、『ウルトラマン』がもつ良い意味での人間ドラマ性を取り込めていたのではないでしょうか。

全体的にはシンプルかつ及第点の内容で、万人に薦められます。もしかしたら海外の映画賞も取るかもしれませんね。
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