トモヤムクン

シン・ウルトラマンのトモヤムクンのネタバレレビュー・内容・結末

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

『痛みを知るただ1人であれ』
私の好きな言葉です。

鑑賞後、1番最初に感じたのは哀愁でした。

【本作の感想】
※感想だけで長いです…すみません…

今回は余すこと無く、
僕が感動した事を書きたいので
ネタバレ有で参ります!ご容赦下さい。

まず大前提として本作は
TVシリーズのウルトラマンがベースにあり、
新解釈や本家から、
一部分岐する点はありましたが
シン・ゴジラの様な、
オリジナルストーリーではありませんでした。

ですが予告等で登場していた
カラータイマーが無く、
細見で生物的なプロポーション。

カラータイマーがないのは
元々、
本家のウルトラマンのデザインを考案された
成田さんがお書きになったデザインが
元になっておりますし、
細見のプロポーションも、
実際本作でモーションキャプチャーとして
参加されていた、
TVシリーズのウルトラマンのスーツアクター
古谷敏さんのプロポーションのまんま。

※割愛しても大丈夫です。
↓↓↓
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もっと深彫すると、
序盤、
初めて地球に飛来したウルトラマンの造形。
(神永と融合する前)

あの姿(銀色)の顔はそれ以降の姿(赤、銀)と
比べると顔は凹凸があり、口も半開き。
これは僕の推測ではありますが、
Aタイプを模しているのかな?と思いました。

元々、ウルトラマンは喋る設定だったので
マスクを軟質の素材にした為に、
顔の凹凸が目立っていたり、
口から液体を飛ばして攻撃する技があったりと
初期段階のボツになった設定を
わざわざフルCGで生まれ変わった、
シン・ウルトラマンで入れてくる辺りに、
庵野さん、樋口さんのオタク的な
こだわりを感じました!
(個人的にAタイプが好きなので嬉しい!)
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【レビューに戻ります】
なので本家を知っている人からすれば、
本家のオマージュや原案からの設定を観れ、
エモーショナルに感じるのと同時に、
令和の時代に生まれ変わったウルトラマンの、
スタイリッシュなアクションを堪能出来る、
懐かしさと目新しさを感じますし、

知らない人からすれば、
【ウルトラマンとは何なのか?】と言う、
現代になっても受け継がれるヒーローの、
根本的な核の部分を感じる作品だと思います。


【ストーリーのレビュー】
※ここまで長いっすよね…
本当にすみません…

本作はTVシリーズのウルトラマン全39話から
数話をピックアップしたには関わらず、
テンポ良く各怪獣や宇宙人との戦いが描かれ、
正体不明の謎の巨人の飛来と共に、
この作品の世界が急加速していくのが
とても見応えがありました。

シン・ゴジラでもそうでしたが、
『空想特撮映画』と副題を打ちながらも、
空想と現実の境界線を、
なるべく薄く作られているのは、
毎度感動してしまいます。

そこに日本政府に対しての
全開のブラックユーモアさが有り、
観ていてクスッと笑ってしまうけど、
少しこれからの人生を考えさせられました笑

最近のウルトラマンは、
怪獣が出現するとすぐ変身がするのが、
正直受け入れがたいです。
(面倒くさい大人ですみません…)

でもTVシリーズでハヤタ隊員は、
『ウルトラマンは人間が
力いっぱい戦った時に力を貸してくれる』
と言っています。

ウルトラマンは人間の所有物ではなく、
人間の無限の可能があった上で
それでも太刀打ち出来ない時に、
ウルトラマンは力を貸してくれるのだと
思うのです。

本作で神永(ウルトラマン)もいいますが、
『ウルトラマンは神ではない』のですよ。

ウルトラマンだって痛いし、苦しいし、死ぬ。
怪獣や宇宙人から唯一物理的な攻撃を受け、
傷付きながらも傲慢で非力な人間達を信じ、
身を犠牲にして戦う。

ではなぜ、人間の為に戦ってくれるのか?

クライマックスで現れたゾーフィが、
『そんなに人間が好きになったのか?』
と問いかけますし、
ウルトラマンも
『人間を滅ぼそうと思えば簡単に出来る』
と言っています。
 
本来、
ウルトラマン達に慈愛の精神は、
ないのかも知れません。

ただ神永が子供を庇い死んだ様に、
非力で傲慢な人間にも自分を犠牲にし、
他者を救うと言う強い意志がある。

本編ではウルトラマンの心情など、
多くは語られませんが、
外星人でありながらも、
仲間と共に人間を理解し、仲間を信じ、
自分が出来る精一杯の力で戦い、
身を犠牲にする姿に孤高の格好良さと、

こんな人間達に力を貸してくれる、
ウルトラマンに哀愁を感じました。
トモヤムクン

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