千利休

乱反射の千利休のレビュー・感想・評価

乱反射(2018年製作の映画)
4.3
〈a movie about s***〉
昼ドラマのようなテンポ感で子供の事故死を描いた本作。序盤のあまりにカクカクした展開に若干稚拙さを感じたものの、内容はかなり面白かった。というのも本作は例に漏れず"不条理"の映画なのだが、その誘因がサイコキラーなどではなく、普通の人々なのだ。そして彼らの罪は、罰せることができないような些細なものである、という鬼畜仕様。しかも彼らの言い分も筋が通っている。妻夫木聡演じる被害者の父親が、暴力に身を任せそうになるも、ひたすらに知性で戦っている姿には感情移入せざるを得ない。そう、まさしく本作こそ最も上手く不条理を描いたものなのだ。そしてそれは紛れもない日本社会の病理である。「冷たい熱帯魚」や「JOKER」のような暴力的な結末を密かに求めている自分も確かに心の片隅に居たが、この結末こそ日本映画で描くべきもの。隠れた傑作を見つけてしまった。

※貫井徳郎の小説が読みたくなった。
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