乱反射の作品情報・感想・評価

乱反射2018年製作の映画)

上映日:2019年09月21日

製作国:

上映時間:94分

3.7

あらすじ

「乱反射」に投稿された感想・評価

強風に煽られ倒れた木の下敷きになった我が子。
何故こんな事が起きてしまったのか。
皆が少しずつ原因を作り、不幸の連鎖から起きた悲しい事故は人災なのか。
真相が分かっても残された両親の気持ちが晴れるわけでもなく、息子が帰ってくるわけでもない。
父として、記者として奔走する妻夫木聡の演技に圧倒された。
真相に辿りつくのは当事者でもかなり難しい事。
役所の担当者の悪態等、実際にはこんな言動するわけがないという部分も有ったが扱ってる内容が内容なだけにリアル。
自分は悪くないと正当化し責任逃れする人間の狡さを垣間見た。
ついこないだ工事現場から鉄材が落下し通行人の男性が亡くなったニュースを見た。
自然災害、でも人は悪くない、なんて言えるわけがない。

このレビューはネタバレを含みます

嫌な気持ちになったねぇ。もちろん褒め言葉やけど。

非を認める者も認めない者も、そもそも非はないと言う者も、みんな「保身」なんだと思う。そして、もしかしたら非を探す者もそうすることで自分を守ってるのかな?誰かを非難すれば落ち着くみたいな。
非にすら気づいてない人間もいたけどね。

きっとそれぞれが満足するところにはいかないんやろね。

ただ、作品そのものの狙いなのか、誰もが小さな罪を犯してて、そうして世界は回ってる、それを良しとする流れはちょっと切なかった。最後にゴミを捨てた場面とかね。なんとなくハッピーエンドのような雰囲気が出てたけど、ある意味救いようのないラストなんやないかなぁ。
綺麗事を言うようだけど、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」は轢かれてからじゃ遅い。そんな悪い印象が残った。
元々はドラマだった作品なので最初に起こったことを短めに流し、それからゆっくり振り返る流れ。事故の犯人探しをしていけばいくほど、事実は明らかになるのに釈然としない。それどころか苦しい。それは些細なことで、罪の意識がないものばかりだったから。犯人を殺したいくらい憎んでも、そこに辿り着けない苦しさ。このまま狂っていくのか、気持ちのやり場は?原因を作った人は?そんな重苦しい空気だけでは終わらず、観賞後のふわっと軽い気持ちにさせる展開はさすが。救世主は突然現れる!観て良かった。
lp

lpの感想・評価

3.5
原作はかなり前に読了済。細部は忘れているけど、話の骨格は結末を含めて覚えている状態。昨年のテレビ放映版は未見。
基本的には原作をしっかり再現しているけれど、最後で見事にやられた。些細な責任感の欠如が負の連載を産むダークなトーンの話のラストに、良い方向への連鎖も期待させる展開を持ってきたところに、石井裕也らしさを感じた。
nishiyan

nishiyanの感想・評価

2.8
強風によって街路樹が倒れてベビーカーが下敷きになってまう死亡事故が発生して、被害者の子供の父親である地元新聞記者の主人公がこれは事故ではなく事件やということで、独自に捜査を進めるサスペンスもんやな。事故の発生の瞬間を軸に、前半はその事故に至るまでの過程や因果関係を丁寧に辿り、後半はその責任がどのにあんのかをさかのぼっていくような構成になっとるわ。一つ一つは普通の人等のほんの些細な身勝手や無責任な行動やねんけど、それが積み重なっていくことで、取り返しのつかへん事故が引きおこされる仕組みを描いてるな。

みんな誰かて日常の中で小さな嘘とか、ちょっとした悪いことか、やったことあれへん人はおらんと思うわ。わしかて胸に手を当てたら後ろめたいことかてあるわ。みんなやってるやろっちゅうことで罪悪感すら感じてへんことって、みんなそれなりに抱えてるんとちゃうかな。せやけど、もしそれらが遠因になって事件や事故が起きてしもた時に、それに対して仮に責任を問われたかて元々自覚があれへんさかい、責任の重さを感じることは急にはでけへんねん。せやから、この映画の中に出てくる人等の無関心、無責任について腹は立つけど、正直正面切って責められへんとこもあるわ。それに、自分の知らんとこで自分が誰かを傷つけてる可能性もあるんとちゃうやろかと、ちょっと怖い気もしたわ。この映画観た人皆が自分の身を今一度振り返って考えなあかんというような話やな。

映画の出来のほうやけど、映画として撮ったもんをテレビ用に編集したみたいなことを上映後のトークショーでテレビ局のプロデューサーが言うてたけど、印象としては映画とテレビの中間っちゅう印象やな。いやー、これ映画やったら無いわっちゅうシーンがいくつかあったわ。おばちゃん等の住民運動のシーンはなんぼなんでもチープすぎるで。あれはないわ。街の中にエキストラが全然おらんシーンなんかも気になったわ。それと、カメラワークかてやっぱりテレビを意識してか、上半身から上、特に顔アップなんかもそこそこ多かったように思う。カメラを引いた雄大な遠景というんもないしな。それと、中盤にもういっぺん冒頭の時間軸に戻ってきた時に、冒頭のシーンと同じ映像を使てたとこなんかも、テレビ用やということで分かりやすくしたんかな?あれはちょっと編集として芸がないわ。いっそ省略しても良かったんとちゃう?わしにはただくどいだけやったわ。

それと、一番腑に堕ちへんのは、終盤主人公の妻夫木の責任追及の熱が急に冷めてまうとこや。なんでこんなに気が変わったんかさっぱりわからへん。原作ではちゃんとその辺のことが書いてあるんかもしれへんな。この映画の場合はここが完全に抜け落ちてて、観てるもんが完全に取り残されてまう。これは役者のせえやなく、完全に脚本の問題。単純に映画として描かなあかん決定的に必要な部分がごそっと抜け落ちてるんやと思うわ。ここの妻夫木の心境の変化の理由がよう分からんもんやから、終盤の「サンドイッチ」のシーンで妻夫木と井上真央がなんぼ演技で頑張ってもいまいち共感でけへん。もやもやや。

映画としてのメッセージはええと思うねんけど、社会派ドラマでいくんか、サスペンスもんでいくんか、ヒューマンドラマでいくんか、どれもこれもどっちつかずで何もかもが中途半端やな。わしはもっとサスペンスもんでいくべきやったと思うけどな。犯人捜しをもっと立たせるべきやったんとちゃう?どやろ?それに、ラストシーンの「公園のゴミ箱」にしたかて、まあ言うてる意味は分かるけど、最後まで中途半端。メッセージが弱すぎる。何か煮え切らんわ。

それにしたかて、妻夫木何で気変わってしもたんやろ?
石井裕也、どないしたんや?大丈夫かいな?
nene

neneの感想・評価

4.5
大切なものを一瞬で奪われる苦しみを思うと、大切なものがあることを凄く怖く思ったし、大切なものがあるからこそ生きていけるんだな〜とも思った。
観ててほんとクソ野郎しか居なくて胸糞悪くなったけど、リアリティがありすぎて現実ってこんなもんだなと
ななな

なななの感想・評価

3.5
ゴミ捨てるシーンであーーってなった、、結局あなたもわたしもみんな…
小さい負の連鎖が、不幸な事件に波及する切り口は興味深いし、人間のエゴや身勝手さや、自己保身の為の責任転嫁を丁寧に積み重ねるて、独自のテイストを構築することは巧みに。強風で街路樹の悲鳴を上げているような心象風景と音にハッとさせられる。TVドラマ版は未鑑賞。

息子を失った喪失から、ヘラヘラ笑っていた主人公が、職権乱用しながらクレーマーに変貌するこのだが、医者に対しての行いは完全に傷害罪だし、クレーマーの範疇を超え過ぎて共感が持てない。更に、開放に向かう切っ掛けも弱すぎて、何が何だか。提起したい問題は分かるが、外側のテイストと人間の情念が渦巻く内面との融和がとれないので、内容の薄さが強調され、仏作って魂入れずに。
Mao

Maoの感想・評価

-
みんな自分を守りたいから、世の中なんて個人の都合だらけ。
でも生きていかなきゃいけない。
サンドイッチ食べるシーンめちゃくちゃよかった。
見れてよかった。すごく好きなやつだ。もっと色んなところで上映されてほしい。
キナ

キナの感想・評価

4.2
冒頭、「事故当日」というテロップにいきなり重くのしかかる不穏。
不運な事故、防ぎようのない事故。でもそれ本当?
やり場のない怒りの向ける先を求めて独自に動き出す父親と妻、知らぬ間に子供を殺していた人々を描いた作品。

フラストレーション満載。
ほんとバカみたいな世の中の仕組み、めんどくさすぎる仕事、板挟みのしんどさ、人の話を聞かないクレームは公害、家庭内の小さなイザコザ。
色々な人が出てくる中で、誰もが経験する日々のストレスをどストレートに見せてくる。
リアルな苛立ちが身体に響いてしんどい。

バタフライ効果のように様々な要因が重なって起こった事故。
責任逃れの言い訳も謝罪の言葉もただただ神経を逆なでするだけ。
知れば知るほど世の中への失望や絶望が募る様子に、私はどうしたらいいのか分からなくなった。

側から観ていて彼らを責めるのは簡単だけど、後ろめたい物事を何一つしたことの無い人なんている?
やってはいけないと知っている物事を破ったことの無い人なんている?
やらなければならない物事をサボったことの無い人なんている?
誰が悪いかと言うと全員悪いけど、ただの悪でもない。
一方的に責め立てるだけでは収められない現実味を感じた。

みんな自分中心の世界。
最後の患者は私かなと思っている。
いつどこで誰を殺していることやら。
責任も面倒も負いたくないしけど、もし身の回りに取り返しのつかない事故が起きたら、誰かを責められずにはいられないでしょう。
ジレンマだらけだな。
とりあえず今目の前にある仕事はきちんとこなしていかないと、と思わず背筋が伸びる。

夫婦の形と関係性がとても良かった。
沈みすぎない。責めない。好き同士。
無責任に近い「大丈夫」の中身がどんどん変わって、最後の方はそれを聞くたびに泣けてしまう。
「仕方ない」で終わらせることは絶対にできないけど、何をしても誰を殺しても消えてしまったものは帰ってこない。

二人の咀嚼音と目付きの強さに覚悟と生命力を感じた。
花より団子、貪り食べて生きてこ。
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