なんこつのからあげ

1917 命をかけた伝令のなんこつのからあげのネタバレレビュー・内容・結末

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

全編通してのワンカット映像は圧巻だった。
映画が始まって気づいたのは、青年兵二人を写すときカメラが正面からかつ後ろに下がる形で撮っていることである。これには、登場人物の顔を正面から捉えることで作品への没入感を促しそうとしているのではないかと思った。実際、見始めて5分程度で私はあたかも自分が彼らと共に武装して歩いているかの様に思えていた。この映画を見る前、全編ワンカットとあるが、戦争映画なのにどう表すのだろうかと思っていた。だが、19世紀に頻繁に使われた塹壕を使えばそれを可能にできるというアイデアは天才的な発想だなと思った。目的地に着いた後、二人は将軍から命令を伝えられるが、片方は兄を死なせないために今すぐにでも行きたい。もう片方は安全に行くためにも夕闇を待つべきだと止めようとする。この二人の立場の違いは今後多くのドラマを生むはずだ。ブレイクが死んでしまってからしばらく進んで川に流されていたウィリアムが、ブレイクが詳しかった桜の木の花びらを見た途端に目の色が変わって泳ぎ始めたのはスコフィールドがブレイクの意志を繋ごうとしている様に見えてとてもかっこよかった。いつもなら感想を書くために一時停止をしたりするのだが、本作品では感想を書くために一時停止をするということがほんの一度もできないくらいに常に緊張感があった。見終わった後でさえ、ワンカット映像なのか疑うくらいに綺麗に繋がっていた。ブレイクは兄に会うという目的は永遠に果たせないものとなってしまい、代わりにスコフィールドが生き残り目的地に到達し伝えたという結果にはなったが、ブレイクの兄への想いがなければ二人の伝令の旅は始まってすらいなかったと思う。