ーこの伝令は必ず伝えるー
最近アカデミー賞関連の映画を探しており、その中で見つけたので鑑賞。
この映画の1番の特徴は、長回し1カットで撮影されていること。画の中にいる全ての演者やカメラの動線、爆発のタイミングなど、一つでもタイミングがずれれば、そこで終わってしまう。相当な準備をして撮影されたものであり、ある意味狂気的だなとも思う。だが、長回しだからこそ、人だけでなく風景も中心として映すことができている。焼き焦げた戦場、少し残った緑ある丘、照明弾によって光と影が美しく見える廃墟など、この映画では映し出された風景が記憶に強く残っている。特に印象に残っているのは、ラストの戦場を主人公が駆け抜けるシーン。あれこそ、それまで続けられた長回しの良さが全て詰め込まれていて、映画館で見たら圧巻のシーンだったと思う。
主人公は、前線で戦う一介の兵士。そして与えられた任務も、一個中隊の攻撃中止を命じた書類を全線に届けるというもの。戦争全体から見れば、小さな任務かもしれないし、彼の行動は英雄的なものとはいえないだろう。でもそんな彼だからこそ、戦場のリアルさを映しだすことができたんだと思う。戦場で次々と現れる死体が、戦場の風景を構成する1ピースとして捉えられていることに、戦争の惨さを感じた。
