はっぴー

スポットライト 世紀のスクープのはっぴーのレビュー・感想・評価

4.0
信仰がもたらす闇を暴き出す。

アメリカにある新聞社スポットライト社は、次の記事のネタとして、あるカトリック神父による子供への性的虐待を調べ始める。ところが調べるうちに、性的虐待をしている神父が複数人おり、さらにそれが隠蔽されていることが明らかになる。

まず、この映画を見る前に、アメリカのカトリック教会の組織構造や住民の生活との関係を予習しておくことをオススメします。そうすると、映画の内容をより理解することができます。
自分の生活にとって当たり前だった存在にそんな大きな闇があるとは、誰しも思わないだろう。ましてら子供にとって神父に逆らうことは、神に逆らうに等しいと思ってしまう。そんな前提と神父を含めた教会のシステムが負の方向で噛み合ってしまったがために、起きた事件。被害に遭った子供は、親に相談することもできないだろう。もし相談できたとしても、親も教会に逆らうことはできない。それほどまでに、教会と存在はアメリカの住民にとって、強大な存在であることがわかる。

展開に大きな動きはなく、記者によるインタビューや調査が淡々と続く。展開の仕方は、She saidと似ている。しかしあちらと違って、この作品では性的虐待の被害を示す直接的な描写はない。実際の虐待はセリフでのみ説明されるが、説明だからこそ想像が必要であり、その想像がより一層被害の凄惨さは増させる。展開はそこまで暗いということはないが、観た後は少し精神的な疲れを感じる、そんな映画だった。
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